濱口竜介監督『悪は存在しない』ベネチア銀獅子賞受賞!
第80回ベネチア国際映画祭
現地時間9日、第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門の授賞式がイタリアで行われ、日本から出品されていた濱口竜介監督の『悪は存在しない』が、銀獅子賞(審査員大賞)を受賞した。濱口監督は2021年に『偶然と想像』で第71回ベルリン国際映画祭の銀熊賞(審査員グランプリ)、同年『ドライブ・マイ・カー』で第74回カンヌ国際映画祭の脚本賞を受けており、2年で世界三大国際映画祭で受賞する快挙となった。
【画像】ベネチアレッドカーペット上の『悪は存在しない』チーム
『悪は存在しない』は『ドライブ・マイ・カー』で音楽を手がけた音楽家・石橋英子と濱口監督による共同企画。石橋が濱口監督にライブパフォーマンス用の映像制作を依頼し、その過程で濱口監督が脚本を書き下ろしたことから本作が完成した。
濱口監督は「この素晴らしい賞をいただけるというふうには、この企画が始まった時には全く考えていませんでした。まず、音楽の石橋さんに感謝したいと思います。彼女の音楽が、私をいままで体験したことがないような仕事に導いてくれました」と感謝。共にステージ上がった主演の大美賀均と、同席した撮影監督・北川喜雄の存在に触れ「私たちは、最初の脚本を書く前に一緒にドライブをして、薪割りをして、この映画をどのようなものにしようか考えていました。なので、この旅の終着点ではないですが、ここまで来られてうれしく思っています」と振り返った。
さらに濱口監督は、スタッフ・キャストに向けて「全ての人たちの力があって、こんな素晴らしい賞をいただけたと思っています。審査員大賞、本当にうれしく思っています」とあいさつ。そして、大美賀は「一言だけ。石橋英子さん、獲りました。ありがとうございました」と感謝を伝えた。
最高賞にあたる金獅子賞は、エマ・ストーンとマーク・ラファロが共演した、ヨルゴス・ランティモス監督作『哀れなるものたち』が受賞。銀獅子賞(最優秀監督賞)は『イオ・カピターノ(原題) / Io Capitano』のマッテオ・ガローネ監督が受賞した。
日本勢では、相米慎二監督の『お引越し』(1993)が、最優秀復元映画賞を受賞。また濱口監督は、国際批評家連盟賞も受賞しており、オリゾンティ部門に出品されていた塚本晋也監督『ほかげ』(11月25日公開)も優れたアジア映画に与えられるNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞している。
第80回ベネチア国際映画祭主な受賞結果は以下の通り
■金獅子賞(最優秀作品賞)
『哀れなるものたち』(イギリス)
ヨルゴス・ランティモス監督
■銀獅子賞(審査員大賞)
『悪は存在しない』(日本)
濱口竜介監督
■銀獅子賞(最優秀監督賞)
『イオ・カピターノ(原題) / Io Capitano』(イタリア、ベルギー)
マッテオ・ガローネ監督
■最優秀女優賞
ケイリー・スピーニー
『プリシラ(原題) / Priscilla』(アメリカ、イタリア)
■最優秀男優賞
ピーター・サースガード
『メモリー(原題) / Memory』(メキシコ、アメリカ)
■最優秀脚本賞
ギレルモ・カルデロン、パブロ・ラライン
『伯爵』(チリ)
■審査員特別賞
『グリーン・ボーダー(英題) / Green Border』(ポーランド、フランス、チェコ、ベルギー)
アグニェシュカ・ホランド監督
■マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)
セイドゥ・サル
『イオ・カピターノ(原題) / Io Capitano』(イタリア、ベルギー)
【オリゾンティ部門】
■オリゾンティ賞(最優秀作品賞)
『エクスプラネーション・フォー・エブリシング(英題) / EXPLANATION FOR EVERYTHING』(ハンガリー)
ガーボル・ライス監督
【ルイジ・デ・ラウレンティス賞(最優秀新人監督賞)】
リー・ホンチー監督
『ラブ・イズ・ア・ガン(英題) / LOVE IS A GUN』(香港、台湾)
【クラシック部門】
■最優秀復元映画賞
『お引越し』相米慎二監督
【VR部門】
■最優秀VR作品賞
『Songs for a Passerby』(オランダ)