『名探偵ポアロ』ケネス・ブラナー監督が挑んだ“没入感”を生み出す新たな撮影法とは?
『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』に続き、作家アガサ・クリスティーの人気ミステリー小説を実写化した映画シリーズ最新作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(9月15日公開)で、監督・製作・主演を務めたケネス・ブラナーが、同作で新たな撮影方法にチャレンジしていたことが明らかになった。
これまで、『シンデレラ』『マイティ・ソー』『ベルファスト』など数々の作品で監督を務めてきたブラナー監督。撮影監督を務めたハリス・ザンバーラウコスによると、彼らは『ベルファスト』の撮影で、臨場感あふれる映像を撮るために「クレーンやドリー(車のついたカメラ移動台)を用いてカメラを動かすことはせず、俳優に直接カメラを身に着けてもらうこと」を学んだという。そして、本作でも、自身がポアロを演じる時はもちろん、ミシェル・ヨーらキャスト陣にも直接カメラを着けて撮影を行った。ハリスは「彼らの動きに合わせてカメラが動くので、実際にその場にいるかのような感覚を味わえます。つまり、彼らが怖いと思ったり、ある種の感情を体験したりすれば、それを見逃すことはないというわけです」と明かす。
ブラナー監督はこれまでも“没入感”を大事にしており、本作ではこれまで以上に没入感と臨場感を出すための新たな試みとして、俳優に直接カメラを着けて撮影するという方法に挑戦。この要望に応えたミシェルは「監督である俳優と仕事をするのも楽しいです」と語り、ノリノリで撮影に挑んでいたのだとか。ブラナー監督も「私たちのゴールは常に観客がドキドキハラハラするような体験を演出することでした」と語っている。
『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』は、ミステリアスで美しい水上の迷宮都市ベネチアを舞台に、「死者の声を話せる」と語る霊能者レイノルズ(ミシェル)による“超常現象”の謎を解き明かすため、子供の霊が出現するという屋敷で開催される降霊会に参加したポアロだったが、やがて招待客のひとりが“人間には不可能”な方法で殺害され、自身も命を狙われることになる。ブラナー監督、ミシェルのほか、ティナ・フェイ、ケリー・ライリー、ジェイミー・ドーナンらが共演に名を連ねる。(高橋理久)