山下智久、独立から3年「もっと活動的に」 アイドル時代の対応力を土台にさらなる高みへ
人気漫画「神の雫」(作・亜樹直、画・オキモト・シュウ)を国際連続ドラマとしてアレンジしたHuluオリジナル「神の雫/Drops of God」で、海外ドラマ初主演を飾った山下智久。俳優として海外作品に多数参加しながら、5年ぶりのアルバムリリース、アリーナツアー完走など、アーティストとしても進化を続ける。今年10月で独立から丸3年を迎える山下が、漫画実写作品との向き合い方、俳優&アーティストとしての現在地を語った。
フランス、日本、イタリアを舞台にした本作は、著名なワイン評論家アレクサンドル・レジェの莫大な遺産を巡り、ワインに運命を狂わされた娘カミーユ(フルール・ジェフリエ)と、彼に師事していた一流ワイン評論家・遠峰一青(山下智久)の対決を描いた全8話のドラマシリーズ。原作漫画の中心人物である神咲雫がフランス人女性として描かれ、神咲のライバルである遠峰が主人公になるなど、海外ドラマならではのアレンジも話題となっている。
山下はこれまで、映画『あしたのジョー』やドラマ「クロサギ」「今際の国のアリス」といった漫画原作の作品に数多く出演してきた。本作の原作漫画「神の雫」を読んだ山下は、「原作の魂をリスペクトとして心の中で抱きながら、新たなドラマの脚本に忠実に、割り切って演じようと思いました」と役へのアプローチ方法を明かす。
「原作に対するリスペクトを持ちつつ、新しいものを作るということを意識しています。自分自身や監督のフィルターを通して表現していくものなので、原作のDNAだけを引き継いで、全く新しいものを生み出す気持ちが大事だと思います」
自身が演じる遠峰を、「ワインのように複雑なキャラクターです」と表現した山下。「いい家庭に生まれて、インテリジェンスな部分も持ち合わせているのですが、愛だけが足りない。少し陰のある、切ない部分も垣間見えます」
撮影は日本をはじめ、フランス、イタリア、タイで行われ、海外での撮影期間は自身最長となった。長期の海外滞在中、乗り越えなければならない壁にぶつかった時は、「ペースを乱さないようにしています」と冷静に物事を捉えるように心がけているという。「いろんな角度から問題を一回眺めてみるという作業をしたり、ジムに行ったり、自分のルーティンを崩さないようにしています。『自分の実力だとこの壁にぶつかってしまう』ということであれば、少しずつ地道にですが、スキルを磨いていきます。倒せない敵がいたら経験値を貯める、ロールプレイングゲームの感覚に近いです」
役者としてよりシビアな評価が下される海外作品で、現地の俳優に引けを取らない演技を披露してきた山下。海外での挑戦には、競争が激しかったアイドル時代に培った対応力も活きているという。「初めて芸能の仕事をさせていただいた時は、本当に右も左もわからない状態。そこから少しずつ対応していく力は培ってきました。それは海外でも同じこと。海外に出て、わからないことが山ほどありましたが、自分で少しずつ感じて、学んでいく作業を淡々とこなしていきました」
海外に出たことで、ウィル・スミス、ウディ・ハレルソン、ケヴィン・ハート、マ・ドンソクといったスター俳優とのつながりも生まれた。「彼らの考え方や哲学を見せてもらったことで、自分の心の容量が大きくなりました。見方が変わるという意味では、自分を見つめ直すきっかけもいただいたような気がします」
独立から3年。俳優&アーティストとして充実した日々を過ごす山下は、「日本を含め、世界中の素晴らしい監督やスタッフさんとプロジェクトを立ち上げていきたい」とさらなる高みを目指す。「世界はより個人の時代になり、個々の意見や意思がすごく尊重されるようになってきています。自分自身も、もっと活動的に、視野を広げていかなければいけないですし、もちろん、今やっていることも続けていけたらいいなと思います」
個人でSNSを開設したことで、ファンとの距離もより一層近くなった。「ある意味で何の肩書もない、後ろ盾のない自分を純粋に応援してくださっている方々に、さらに感謝の気持ちも大きくなりました」と話す山下は、「自分が運転させてもらっている列車に乗ってくれた方々なので、皆さんの意見も大切にしたいなと思うし、新しい景色を見ていただけるように、しっかり進んでいきたい。ライブができない期間も長かったので、今後はもう少しそういった機会を増やしていきたいです」と期待を膨らませていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
Huluオリジナル「神の雫/Drops of God」は9月15日よりHuluにて独占配信中