重度障害者施設で…宮沢りえ主演×石井裕也監督『月』予告編公開
実際の障害者殺傷事件をモチーフにした辺見庸の小説に基づく映画『月』(10月13日公開)から主演の宮沢りえ、共演のオダギリジョー、磯村勇斗、二階堂ふみらの迫真の演技を切り取った予告編が公開された。
「自動起床装置」「赤い橋の下のぬるい水」などの辺見庸が、社会が「見て見ぬふり」をしてきた不都合な問題をつまびらかにした同名小説を、『茜色に焼かれる』『愛にイナズマ』などの石井裕也監督が、原作を独自に再構成する本作。
予告編は、元有名作家の主人公・洋子(宮沢りえ)が働く笑顔あふれる重度障害者施設の日々からスタート。40歳を過ぎて子を授かった洋子と、「二人で頑張ろう!」と胸を張る夫の昌平(オダギリジョー)の希望に満ちた姿が映し出されるも、新生活に向けて歩み出すところから一変。施設職員・陽子(二階堂ふみ)の「知ってる? 施設は森の中にあるの。隠されているのよ。本当は誰も現実を見たくないからでしょ」という言葉から不穏な空気が漂い始める。
洋子が施設で目にした現実は、暴力と虐待にまみれた日々。次第に疲弊していき苛立ちを見せるなか、絵の好きな青年さとくん(磯村勇斗)は「この国の平和のために」とある行動に出る。「無傷で手ぶらで善の側に立とうとするのはずるいです」と言うさとくんと、「私はあなたを絶対に認めない」と彼を否定する洋子。両者の命を巡る戦いが展開し、ラストは洋子の「生きててよかった」の一言で締めくくられている。
本作は、10月4日から開催される第28回釜山国際映画祭のジソク部門に出品されている。(編集部・石井百合子)