大沢たかお主演、実写版『沈黙の艦隊』は原作と何が違う?
大沢たかおが主演を務める実写版『沈黙の艦隊』(公開中)は、 かわぐちかいじの原作漫画と何が違うのか?
【動画インタビュー】大沢たかお、実写版『沈黙の艦隊』を語る!
本作は、日米共同で極秘裏に建造された、日本初の原子力潜水艦シーバットをめぐる軍事サスペンス。『ハケンアニメ!』の吉野耕平監督がメガホンを取り、高井光(高ははしごだかが正式表記)が脚本を務め、『キングダム』や『銀魂』シリーズなどのクレデウスが制作を担当する。シーバットの艦長・海江田に大沢、シーバットを追う海自ディーゼル艦たつなみ艦長・深町に玉木宏がふんするほか、上戸彩、中村倫也、江口洋介、水川あさみ、ユースケ・サンタマリア、中村蒼らが出演する。
原作漫画は、1988年から1996年まで「週刊モーニング」(講談社)で連載され、国防や世界平和の意味を問いかける内容が論争を呼び、当時社会現象となった。それから約30年を経て実写化するにあたり、時代設定が現代にアップロードされている。
実写版では、主人公の海江田と、そのライバル関係である深町との対決がメインで描かれる。そして、原作にはない2人の過去エピソードとして、かつて2人が艦長と副艦長として乗務していた際に起きた、ある海難事故のエピソードが追加された。
その海難事故にかかわる人物として登場するのが中村ふんする潜水隊員・入江蒼士だ。製作を手掛けるAmazonスタジオのプロデューサーは「原作にはないキャラクターですが、海江田を最もミステリアスに見せるために考えた人物」と意図を明かした。
実写版でアップデートされることを原作者のかわぐちはどう思ったのだろうか? 松橋真三プロデューサーは、かわぐちの反応について「『いまやるのならどうぞ存分にアップデートしてほしい。むしろそうすべきでしょう』と素晴らしいアイデアもたくさんいただきました。それこそ海のように懐の深い、真のストーリーテラーと言った方で、先生自身もこのプロジェクトを心から楽しんでくださっているように感じました」と語った。
さらに、水川が演じたたつなみの副長・速水貴子は原作では男性で、上戸が演じるニュースキャスター・市谷裕美もオリジナルキャラクターである。松橋プロデューサーは「今は潜水艦に女性も乗られていて、時代に合わせています。市谷はお客さんの目線に立つ人間として考えました」と女性キャラクターを登場させた理由について語った。
原作の普遍的なテーマはそのままに、現代版としてアップロードされた実写版『沈黙の艦隊』だからこそ感じられる、メッセージ性に注目してみるのも一興だ。(今井優)