染谷将太、喜多川歌麿は「想像をかき立てる役」 25年「べらぼう」で5度目の大河
横浜流星主演の2025年大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」の新キャスト発表会見が5日にNHK放送センターで行われ、横浜演じる蔦屋重三郎の生涯の友であり、同志となる江戸時代の“天才絵師”喜多川歌麿を染谷将太が演じることが明らかになった。染谷にとって大河ドラマへの出演は5度目、「麒麟がくる」(2020~2021)以来5年ぶりとなる。
喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見いだし、東洲斎写楽を世に送り出した“江戸のメディア王”蔦屋重三郎(横浜流星)の生涯を追う本作。この日は染谷のほか、田沼意次を渡辺謙、田沼意知役を宮沢氷魚、鱗形屋孫兵衛を片岡愛之助が演じることも発表された。
染谷が演じる喜多川歌麿は、重三郎が手掛ける洒落本、黄表紙、狂歌本などで挿絵の仕事などを任されるうちに、自らの画力を磨いていく。やがて寛政の改革で時代が変わると、蔦重と浮世絵の美人画を仕掛け、その才能が一気に開花。美人画は江戸で大評判となり、人気絵師の地位を確立していく。
本作の制作統括を務める藤並英樹チーフ・プロデューサーは、染谷のキャスティングについて「染谷さんには芝居の引き出しの多さ、台本を読み解いて、いろんな表現をしていただける演技力がある。研究者によると、歌麿というのは写楽よりも謎だと言われていて。生い立ちから、その素性まで本当に分からないとのことですが、美人画といえばこの人、という世界をつくりあげたアーティストを演じていただきたいと思い、オファーをいたしました」と説明。
クランクインは2024年夏を予定しているが、“天才絵師”を演じる染谷の役づくりについて藤並CPは「いずれ絵を描く所作とか、そういったお稽古といったことはやりましょうと言っています。その時に話に出たのが、染谷さんは映画(『バクマン。』)で漫画家の役をやっていたということもあって、描くのって大変ですよねとおっしゃっていたんですが、それでも興味を持っていただいて。そうした浮世絵、及び肉筆画については専門の先生を交えながら稽古していきたいなと思っています」と明かす。
染谷は「歌麿さんは、あまり史実に残っていない人物なので、本当に想像力をかき立てられる役。ある種、自由に演じていいのかなと受け止めていまして。今からとても楽しみにしています」と期待を寄せている様子で、「でも(歌麿の)絵はちゃんと残っているわけで。きっと描いた絵というのは、その人が出ていると思うんですね。だから歌麿さんの絵を見つめながらクランクインを楽しみにしたいと思います」とコメント。
横浜演じる重三郎との関係性について質問されると、染谷は「蔦重さんとの関係性がキーになっていくんだと思いますが、蔦重さんとの友情であるのか、戦友であるのか。きっと一緒に困難に立ち向かうシーンがあると思うんですが、それをどう描くのか。でも藤並さんともお話をさせていただいて、歌麿の構想を聞く限り、かなり新しい感じがしたので、それをぜひ楽しみにしていただけたら」と呼び掛け。
本作で5本目の大河ドラマ出演を果たした染谷は、「江~姫たちの戦国~」(2011)で森坊丸を、そして「麒麟がくる」で織田信長を演じた経験がある。「本能寺の変を2回“経験”させていただいたんですが」と冗談めかして会場を沸かせた染谷は、「時代によって表現方法が変わっていて。本当に楽しかったですね。そこで新しい自分を見いだしたりとか。長い期間、同じひとりの人物を生き抜くというのはとても貴重な体験なので。しかも今回は今まであまり描かれてこなかった部分のある人物だからこそ、ゼロから新しいことができるんじゃないか」と期待を寄せた。(取材・文:壬生智裕)