「どうする家康」松本まりか、山田孝之へのアドリブが突破口に!「“怒った?”とも聞いてない」
大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8時~NHK総合ほか)で主人公・徳川家康(松本潤)に仕える服部半蔵を手助けする大鼠を演じた松本まりか。本作でオリジナルキャラクターに臨んだこと、クランクアップを迎えた心境、そして半蔵を演じた山田孝之との信頼関係を振り返った。
【画像】服部半蔵&大鼠、久々の忍びミッション!第38回「唐入り」
松本にとって大河ドラマへの出演は2000年放送の「葵 徳川三代」(徳川家康の孫・千姫の少女時代)以来2度目、23年ぶり。演じる大鼠は、亡くなった父を継いで忍者集団を束ねる“クールビューティ”。体が柔らかく、どんな場所にも忍び込み、町娘から遊女、武士まで変幻自在に化ける変装の達人でもある。2月12日放送の第6回で初登場して以来、失敗の多い半蔵をフォローしてきた。明智光秀(酒向芳)に命を狙われる家康の逃避行が展開した7月30日放送の第29回以来、10月8日放送の第38回「唐入り」で約2か月ぶりに登場。朝鮮征服という途方もない野望に着手した秀吉(ムロツヨシ)に危機感を覚えた家康が、その実情を探るために半蔵らに再び忍びの任務を与えた。
第38回の撮影前日に本エピソードでクランクアップを迎えることを告げられ、「今だに実感が湧きません(笑)」という松本。「オリジナルキャラクターとして、作品の大事なシーンに立ち合わせてもいただき、役者さんたちの凄さをまざまざと体感できる有意義な時間を過ごせました。1年間同じ役を演じるということもなかなかないですし、やっぱりもっと居たかったですね(笑)」と1年にわたる撮影を名残惜しそうに振り返る。
オリジナルキャラクターである大鼠は、面白くも難しくもあり、やりがいがあったという。「誰もが知る徳川家康を題材にした作品で、歴史的に有名な人物が沢山出てくる中、大鼠は数少ないオリジナルキャラクターの一人。“遊べる”役であり、正解がなく想像力を求められる役でした。戦続きではりつめた戦国の空気を、少し緩ませる役も担っていると理解しつつ、古沢さんがどういうキャラクターを目指して描かれたのかなというのを、少ない手がかりから辿って考えていくのは、面白くも難しくもあり、とてもやりがいがありました。物語が進んでいくうちに、大事なシーンを締めるコミカルな“大オチ”を 半蔵と任される場面が出てくるようになったり、『大鼠ってこんなこと言うんだ』と私も予想していなかったようなセリフも出てきたり。とにかく必死で、毎回シーンがくるたびに『こんな一面もあったの!』と思いながら、食らいついていった感じです」
半蔵を演じる山田とは、23年来の付き合い。半蔵と大鼠の凸凹コンビぶりも注目を浴び、半蔵が危機に陥ると大鼠が救う場面も少なくなかった。息の合った掛け合いを見せた山田について「23年前、中学生の頃出会っているというのもありますが、何より人としての信頼感は絶大なるものがあります。でも沢山共演してきた訳ではないですし、こんなに長期間、しかもバディという役どころで組むのは初めてでした。一緒にやってみると、やはり凄いなと思います。芝居をする中で、彼の感性、感覚、面白さ、ユニークさ、発想には、静かに刺激を受けていました」と信頼を明かすと共に、半蔵と大鼠の関係を以下のように分析する。
「半蔵と大鼠は似ている部分もあれば、ボケとツッコミ、凸と凹の様な相反する面もあるので、山田孝之という人が演じる半蔵に対して、大鼠はどういうスタンスでいたら面白いか……というのを考えながらやっていました。半蔵とのシーンで特に印象に残っているのは、第6回(続・瀬名奪還作戦)、半蔵が『服部党は改めて殿のお抱えとなった』と服部党に言いに来るけど、皆半蔵の話は全く聞かずおにぎりに夢中になっているというシーン。クランクインの日に撮影した記憶があります」
このシーンでは、監督の指示により松本が山田にアドリブを仕掛けたそうでこれが大鼠のキャラクターづくりの手助けになったとも。「監督が近付いてきて、こそっと『アドリブを入れて』『半蔵のお尻を叩いてみて』と(笑)。本人には内緒で、タイミングをはかって本番でバーンとお尻を叩いてみたのですが、さすが、半蔵として凄く面白く返してくれました。突然だったのでびっくりしたとは思いますが、その後、本人には特に『怒った?』とも聞いてないです(笑)。撮影初日ということもあり、大鼠をこれからどうつくっていこうかと悩んでいましたが、あのシーンで皆さんが2人の関係の面白さを見つけてくださった感じがします。半蔵と大鼠の関係性は、あそこから広がっていったんじゃないでしょうか」
大鼠にとって、半蔵はどんな存在だったのか? 「甘い言葉も言わないし顔には出さないけれど、身寄りの無い大鼠にとって、半蔵は唯一、公私ともに心を許せる人になっていったのかなと思います。最初は義務感もあったかもしれませんが、半蔵と一緒に命がけで戦って任務をこなしていく中で、半蔵が出来ないところは自分が補完しなきゃと思える良い関係に変化していったのかなと。38回は久しぶりの忍び任務でした。嫌々だけど、“嫌よ嫌よも好きのうち”というか……半蔵がそこまで言うならやってやるというスタンスだけど、でも実は、大鼠にとっても嬉しいことだったのかなと思います」と関係の変化を述懐。
「大鼠というオリジナルキャラクターを皆さんがそれぞれに解釈して楽しんでくれたり、沢山の反響や感想が私の支えになっていました。大鼠が、いいスパイスになれていたら嬉しいです。これまで自分が演じてきた役とは全然違うキャラクターで、非常に悩んだ役でしたけれど、この一年間、キャスト・スタッフの皆さんと過ごした時間というのは、本当に有り難くて、貴重な時間でした。改めて、本当にありがとうございました」と1年にわたって撮影を共にしたスタッフ、キャストへの感謝を表すと共に、「史実からさらに想像をふくらませた『どうする家康』の世界が、私は大好きです。物語はこれからまだ10回続きますので、ぜひ引き続き楽しんで頂けたら嬉しいなと思っております」と視聴者にメッセージを送った。(編集部・石井百合子)