山崎貴監督『ゴジラ-1.0』は金子修介版ゴジラの影響アリ「楽しみにして」
13日、映画『ゴジラ-1.0』を手掛ける山崎貴監督が厳選した、過去の『ゴジラ』作品を上映するイベントの第3回作品『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』の上映会が池袋HUMAXシネマズで開催され、映画上映前には同作の監督を務めた金子修介と山崎監督が登壇。ゴジラ愛あふれるトークを繰り広げた。
【画像】戦後日本を蹂躙するゴジラ…『ゴジラ-1.0』場面写真
『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』は、“平成ガメラ3部作”で絶賛を浴びた金子監督が手掛けた2001年公開のゴジラ映画。ゴジラ、モスラ、キングギドラという人気の三大怪獣に加えて、地底怪獣バラゴンも甦り、最強の怪獣バトルロイヤルを繰り広げる。
上映前に登壇した金子監督は、前日に新作映画の初号試写を終えたばかりとのことで、「昨日が初号で。なかなか頭が切り替わらないですが、よろしくお願いします」とあいさつ。山崎監督も「隔週でここに来ていて。通っているような気分です」と笑ってみせる。
山崎監督と金子監督の接点は、1989年に公開された中山美穂、宮沢りえらが出演する映画『どっちにするの。』にさかのぼる。同作のオープニングは宇宙空間。ソビエト連邦の宇宙船の修理に使っていたハンマーが地球に落下したことでコンピューターが誤作動を起こし、平凡なOLが会社運営を担うことになるという物語だったが、この宇宙船のCGを担当したのが当時、新人クリエーターだった山崎監督。「いかにもソ連っぽい宇宙船のデザインでステキだったんですよ」と振り返る金子監督に、山崎監督も「ほぼはじめての映画で、しかも宇宙船のデザインということで、こんなうれしいことはなかった」と笑顔。
そこで金子監督が「当時の山崎青年は、あまり表情が変わらなくて。それがすごく印象に残っている」と続けると、「緊張していたんですよ」と山崎監督。それ以降、ふたりのタッグはなかったというが、「『ガメラ』の時も呼んでいただければいつでも行きましたよ。もしこれからやるならひとりでも行きますよ」と山崎監督がラブコールを送るひと幕も。その流れから「『ガメラ4』はやらないんですか?」と直球でぶつけると、「アイデアはあるんですけど、呼ばれないんですよね」と返していた。
そしてこの日上映される『大怪獣総攻撃』(以下『GMK』)は、「『ガメラ』を作った人が『ゴジラ』をやるなんてどういうことだろうと思ったけど、映画を観たら、これが本当によくできているなと思った」という山崎監督。金子監督の構想としては、もともと「バラン・バラゴン・アンギラス」の三大怪獣が登場する作品だったというが、紆余曲折あり、モスラとキングギドラが登場する映画に。そして当初の構想からはバラゴンだけが残ったのだという。
そしてその後も、「バラゴン」についての話題、ゴジラに襲われる卓球場のセットを実際につくり、それをゆらしたという手法についての話題、ハリウッド映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』に同作のオマージュと思われるシーンがあること、などクリエーターならではの視線で、金子監督に根掘り葉掘り聞き出した山崎監督。
さらに本作ではゴジラが人間の脅威となっていたということについて指摘した山崎監督のコメントに対して、「ガメラが正義の味方っぽかったから、悪役にしたかった。とにかく強くて、次々となぎ倒す存在にしたかった」と返した金子監督は、「当時、小3だった息子が、はじめて喜んだんですよ。ゴジラがモスラに勝ったと。彼はあまりモスラが好きじゃなかったみたい。僕自身は好きだったんですけどね」とコメント。さらに「その息子(俳優の金子鈴幸)も今年31歳で。最近は Uber Eats のCMに出ていますよ」と明かし、会場を驚かせた。
山崎監督の『ALWAYS 続・三丁目の夕日』オープニングにはゴジラが登場したが、実はそのゴジラは「GMK」のガレージキットをもとにしたものだったという。「映画を観たのは公開当時だったので、だいぶ記憶が薄れていたんですけど、自分で『ゴジラ-1.0』のシナリオを書いて。あらためて『GMK』を観たら、知らず知らずのうちにけっこうな影響下にあったなと思って。だから楽しみにしてください」とコメント。本作が上映予定となっている東京国際映画祭では、過去のゴジラ映画でも破壊されたことのある複合施設・有楽町マリオン内の映画館、丸の内ピカデリーで上映予定とのことで、「銀座の街のシーンがあるので、今いるところが破壊されるかも……あまり多くは言えないですが」とファンの期待をあおる山崎監督だった。(取材・文:壬生智裕)
映画『ゴジラ-1.0』は11月3日より全国東宝系で公開