マイケル・ケイン90歳、俳優引退
イギリスの名優マイケル・ケイン(90)が俳優引退を表明した。
『アルフィー』『探偵<スルース>』『リタと大学教授』『ハンナとその姉妹』『サイダーハウス・ルール』『愛の落日』と6度アカデミー賞にノミネートされ、『ハンナとその姉妹』『サイダーハウス・ルール』で助演男優賞に輝いたマイケル。『ミニミニ大作戦』『鷲は舞いおりた』『グランド・イリュージョン』『キングスマン』『グランドフィナーレ』、そして『ダークナイト』シリーズをはじめとしたクリストファー・ノーラン監督作など出演作は多岐にわたる。
そんな彼が主演最新作『ザ・グレイト・エスケイパー(原題) / The Great Escaper』をもって、俳優引退を決意したのだという。BBC Radio 4 の番組「Best of Today」に出演したマイケルは「わたしはずっと『引退する』と言い続けてきたが、今がその時だ」とコメント。「悟ったのだ。わたしには主演を務め、素晴らしいレビューを得た映画がある。どうやったらそれを超えられるのだろうか」と今が引き際だと考えたと明かした。
高齢となり、オファーされる役が減ったり、小さくなったりしたことも引退を決意させた一因とのこと。「今わたしが得ることができるのは、90歳の男の役だけだ。85歳かもしれないがね」とジョークを飛ばすと、「90歳の男は主役になり得ない。若くハンサムな少年少女たちが主役となるのだ。だからわたしも、今までの経歴だけ持って去るのがいいのかもしれない」と語る。
「脚本が送られてきたから見てみて、それからわたしは今までしたことがなかったことをした。脚本のページ総数と自分の役とされたもののページ数を比べてみたんだ。そしてそれは99ページ中、15ページだった。それでそれは小さな役とみなし、『これはやらない』と思った。だから引退したんだ」「ここから先に進むことにしても、小さな役をやって悪いレビューを得るかもしれない。それで『だったらなぜ、今辞めないんだ?』と思った。だから辞めたのさ」
『ザ・グレイト・エスケイパー(原題)』は、89歳の退役軍人バーナード・ジョーダンさんがフランスでのノルマンディー上陸作戦記念式典に参加するため、老人ホームを逃げ出した実話を基にしたドラマ。共演のグレンダ・ジャクソンさんは今年6月、87歳でこの世を去った。『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』のオリヴァー・パーカー監督作で、本国イギリスでは公開が始まっている。(編集部・市川遥)