人体実験、死の行進…アウシュヴィッツの暗部暴く『メンゲレと私』予告編公開
10代前半の数年間でゲットーやアウシュヴィッツ強制収容所、「死の行進」を体験し、奇跡的に生還したリトアニア出身のユダヤ人、ダニエル・ハノッホの証言から、おぞましい歴史の暗部をつまびらかにするドキュメンタリー『メンゲレと私』(12月3日公開)の予告編が公開された。
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現在91歳のダニエルは、9歳の時にゲットーに送られ、12歳でアウシュヴィッツの強制収容所に連行。収容所で子供たちをかわいがる一方で非道な人体実験を行い“死の天使”と恐れられたドイツの医師、人類学者、親衛隊大尉であるヨーゼフ・メンゲレのお気に入りの少年となった。ダニエルは赤十字の視察の際に、綺麗な服や食料、毛布などが支給され、ユダヤ人囚人への配慮を示すモデルを演じさせられた。
予告編は、法廷で交わされる「1回だけ実験を見ました」「どんな実験を?」「双子を縫い合わせた?」「メンゲレ医師が?」といった衝撃的な会話に始まり、やがてダニエルによる証言の場面へ。映画では、ダニエルが語る複数の強制収容所での殺人や厳しい労働、そして戦争末期にソ連軍から逃れるために敢行された「死の行進」にまつわる生々しい証言を通して、暴力、疫病、カニバリズムなど凄惨な事実が浮かび上がっていく。
本作は、オーストリア・ウィーンを拠点に活動する製作プロダクション、ブラックボックス・フィルムのクリスティアン・クレーネス監督とフロリアン・ヴァイゲンザマー監督が手がける「ホロコースト証言シリーズ」3部作の最終作。第1作『ゲッベルスと私』(2018)では、ナチ宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書を3年間務めたブルンヒルデ・ポムゼル(撮影当時103歳・2017年没)が登場し、当時のナチ中枢部の日常を告白。第2作『ユダヤ人の私』(2021)ではアウシュヴィッツを含む4つの強制収容所に送られるも、辛うじて生還したオーストリアのホロコースト生存者であるマルコ・ファインゴルト(撮影当時104歳・2019没)が自身の数奇な体験を語った。
なお、本作の初日公開日に合わせて、クリスティアン・クレーネス監督とフロリアン・ヴァイゲンザマー監督が来日し、東京・大阪・沖縄の劇場で舞台挨拶を実施予定。12月3日に東京・東京都写真美術館ホール、12月6日に大阪・第七藝術劇場、12月10日に沖縄・桜坂劇場にて行われる。(編集部・石井百合子)
映画『メンゲレと私』は、12月3日より東京都写真美術館ホールほか全国公開