『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』に『ミッドサマー』の影響 スコセッシ監督が明かす
巨匠マーティン・スコセッシ監督がインタビューに応じ、映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(10月20日公開)の3時間26分という上映時間について語った。
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スコセッシ監督が6度目のタッグとなるレオナルド・ディカプリオを主演に迎え、デイヴィッド・グランの犯罪ノンフィクションを基にアメリカ史の闇といえる先住民大量殺人事件を描き出した本作。大長編でありながら、膨大な情報を必要な箇所に必要なだけ的確に配置した緻密な脚本と、スリリングで集中力を途切れさせない絶妙なペース配分によって、長さは一切感じさせない。
「この長さは意図したものではない。ただ語りたい物語がたくさんあって、多くのものが取り残された。撮影の際ではなく、脚本上でね」と脚本の段階からかなり絞ったと明かしたスコセッシ監督。編集においても「わたしたちがやったのは、全てのテンポが快適だと感じられるまで、磨きをかけ、カットして、カットして、カットすることだった」と推敲を重ねたと打ち明ける。
「面白いことに、最初のカットは『ここは退屈する』『そこは退屈する』という風に観ていって、そうやってシーンをカットしていった。その作業を続け、最終的に『実際にこの映画を観られるぞ』と感じるポイントにたどり着いた。つまり、わたしは次に何が起きるかを知っているわけだが、それでも見続けられて、次のシーンに驚かされ、次のシーンが観たくてたまらないというような感じだ」
「そうして自信を得た。多くの人たちが同じように感じてくれるのではないのかと。もし観客が自分たちを映画の世界に没入させてくれるのなら、彼らは別の領域へと連れて行かれ、ある意味それと共に生きられるのではないかと。もちろんリスクはあるが、もしうまく行けば、この映画は人々の心により長く残るものになるのではないかと思った。願わくば、本や絵画、音楽のように」
映画の流れを途切れさせることなく、先住民オセージ族の姿を誠実に描くこともスコセッシ監督が腐心した点だった。「わたしがとても心配していたのは、ストーリーの本筋ではないが、オセージの文化に関わるシーンを映画にどう入れるかだった。赤ちゃんの名付けや葬式、結婚式など。彼らがどう生活しているかを見ることで、彼らのことをより多く知ることができるシーンだ。そうしたシーンを入れることで映画は長くなったが、そうすることは本当に重要だと思ったんだ」
また、制作時に意図したことではないものの、完成した作品にはテンポの点で、アリ・アスター監督のホラー映画『ミッドサマー』や『ボー・イズ・アフレイド(原題) / Beau Is Afraid』から影響を感じたというスコセッシ監督。「どちらもとても好きな作品で、テンポは『キャット・ピープル』(1942)や『ブードゥリアン』(1943)といった作品に回帰した感じ。それでちょっとスローに、ちょっと静かになった。そうできるチャンスはつかまなくちゃね」と80歳という年齢を感じさせない早口&熱量で語っていた。(編集部・市川遥)