緒方恵美、悩んで演じた「デジモン」新キャラ スタジオにも相談「リアリティーを持って演じていいのか…」
声優の緒方恵美が28日、都内で行われた映画『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』の公開記念舞台あいさつに出席。現代らしいとも言える複雑な家庭環境に身を置く青年役を演じた緒方は、その胸中を吐露した。この日は、片山福十郎、ランズベリー・アーサー、野田順子、高橋直純、釘宮理恵、田口智久監督も来場した。
【動画】アニメから10年後が舞台!『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』 本予告
本作は、本宮大輔とブイモンをはじめとした、新たな“選ばれし子供たち”とパートナーデジモンたちの姿を描いたテレビアニメ「デジモンアドベンチャー02」(2000)の新作映画。アニメ版から10年後を舞台に、大人になった大輔や一乗寺賢らが、それぞれのパートナーデジモンと新たな冒険に出る。緒方は、「世界ではじめて選ばれし子どもになった」という新キャラクター・大和田ルイ役を担当。ルイは、複雑な家庭環境で育ち、親からネグレクトを受けている背景を持つ。
緒方は、デジモンシリーズが2000年代にはじまったことから「(ルイは)“はじまりの少年”だから、本当は(作品の時代背景は)それくらいのことですが、残念ですけど、彼みたいな子供は今の時代の方が多い気がします。ほぼ一人親で育てられていたり、家庭環境が複雑だったり、孤立してそこから抜け出せなかったり」と自身の見解を述べると、「今、そういう感じにある子どもたちが、『02』チームから出るきっかけをもらって、前に向けるように物語が紡がれています。はじまりの物語だけど今の映画なんだなと思います」と本作の印象を打ち明ける。
「この役はリアリティーを持って演じていいのかどうか考えてスタジオに行った」と悩んだことも明かす緒方。「結果、『やっちゃってください』と言われたので、ああいう仕上がりになりました」と語るが、収録後も「お子さんや親御さんが観てどう思うのか…といろんなことを考えた」という。しかし、試写を観て「今、わたしたちは非常に厳しい状況の中で生きていると思いますが、そのつらい状況の中から希望が見えていくというテーマを丁寧に描いている作品として必要だったと今は思っています」と充実した表情をのぞかせる。そして、家庭環境だけではなく、いろんなことでつらいと思っている状況を抱えている方々に何か希望をお渡しできる作品になっていると思います」とアピールした。
イベントのために過去作を「簡単に観返してきた」と話す片山も、「『02』は心の闇と闘い、向き合うシーンが多いと思いました。闇の部分が強いほど相乗して光も強くなるので、物語が強く輝くと思います」と作品に自信を見せる。田口監督は、「複雑な家庭環境にルイくんを置くことで、成長して明るくなった大輔やブイモンたちと対をなして物語ができるんじゃないかなと思いました」と制作意図を説明していた。(錦怜那)