亀梨和也を狙う“怪物”はこうして生まれた…『怪物の木こり』狂気のキャラクター制作秘話
亀梨和也(KAT-TUN)と三池崇史監督がタッグを組んだサスペンス映画『怪物の木こり』(12月1日全国公開)。劇中で亀梨ふんする狂気のサイコパス弁護士・二宮彰を執拗に狙うのが、猟奇殺人を繰り返す仮面を被った“怪物”だ。謎に包まれた同キャラクターについて、三池監督やスタッフが造形制作の裏話を語った。
凶器の斧で脳を奪い去る連続猟奇殺人事件の犯人とみられる“怪物”は、二宮を次なるターゲットに定める。その強烈なビジュアルは、『ハロウィン』シリーズのブギーマン、『ミュージアム』(2016)のカエル男、DCの人気ヴィラン・ジョーカーを彷彿させる。
仮面の“怪物”は、本編に何度も登場する絵本「怪物の木こり」に描かれている。この絵本を手がけたのは、NHK「みんなのうた」「おかあさんといっしょ」のアニメーションを担当し、CMでも活躍する映像作家の松本弘が制作したもの。以前から松本と親交があった三池監督は、「絵本を描いた経験がなくても、挑戦する気概がある人と組みたかった。今回お願いした松本弘さんは、普段はCGクリエイターですが、画力がありキャラクターデザインもできる。彼の感性で描いてもらいました」 と依頼した理由を語る。
マスクの制作は、美術の坂本朗(『悪の教典』『シン・仮面ライダー』など)が絵本をベースにデザインをデッサンし、特殊メイク・特殊造形アーティストの百武朋が立体に起こしていった。 キャストの顔をスキャンし、3DCG化した後、粘土で型をとり、絵本のキャラクターを立体に近づけた。百武は『妖怪大戦争』 (2005)をはじめ、これまで三池監督と何度もタッグを組んでおり、監督からの信頼も厚く、阿吽の呼吸で制作が進行していった。
中でもこだわった点について、 百武は 「絵の印象を変えないようにしつつ、目や鼻の位置がキャストに合うようにバランスを試行錯誤しました」と語り、実際に装着した際のフィット感も大事にしたという。 また、目と口を隠したキャラクターにしたいという要望がありながら、激しいアクションシーンが用意されていたため、呼吸がしやすいように口元に穴を空けたり、のぞき穴を作るなど、完成した後も微細な調整が重ねられた。
恐ろしさが詰まったマスクの仕上がりに、三池監督やスタッフが大絶賛。百武も「監督の演出が本当に素晴らしかったので、マスクが活きてよかったと思いました」と自信をのぞかせた。百武はマスクの造形以外にも、死体の血のりや老人メイクも担当しており、おどろおどろしい作品の世界観をリアルに盛り立てている。(編集部・倉本拓弥)