「モナーク」アンナ・サワイ、ゴジラに3.11の恐怖重ねる 対峙シーンはゴジラの目を研究
ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』(2014)から始まった「モンスター・ヴァース」初の実写ドラマ「モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ」で、主要キャラクター・ケイトを演じるアンナ・サワイがリモートインタビューに応じ、劇中における怪獣王ゴジラとの向き合い方、海外の話題作で活躍する俳優として現状について語った。
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ニュージーランド生まれ・東京育ちのアンナは、2013年から2018年まで女性ダンス&ボーカルグループ「FAKY」のリーダーとして活動。その後、かねてより志していた俳優業に専念し、Netflixのオリジナルシリーズ「Giri / Haji」や、人気カーアクション映画『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』に出演するなど、世界中で知名度を高めた。
ドラマ出演にあたり、「日本人の役を務めたことは過去にもあったのですが、そうではない役がいつも難しく、そこの壁を越えたいという思いがありました」とアンナは語る。「日本人の役=この人が合っている、と思われることが嫌だったんです。その壁を超えたいという思いで本作にチャレンジしました」
日本で育ったアンナにとって、ゴジラは身近な存在。本作に携わる前から、『ゴジラ』映画もチェックしていた。「人々の文化に大きく存在しているゴジラ作品に参加できることに、すごくビックリしました。出演にあたって映画も観直して、(撮影地の)バンクーバーに行ってからも、キャストと一緒に観たりして『ゴジラって女性なのか男性なのか』という話をして楽しんでいました」
アンナふんするケイトは、ゴジラがサンフランシスコを破壊した「G-Day」の経験者で、当時教師だった彼女は目の前で多くの生徒を失った。ケイトにとって、ゴジラはトラウマ的存在として脳裏に焼きついている。
ケイトがゴジラに抱く恐怖心は、アンナが日本で経験した東日本大震災(3.11)と重ねていたという。「2011年の震災当時、私が住んでいる地域は液状化しました。地面が割れるにつれて、『どっちにいればこのまま生き残れるんだろう』と思うくらい本当にトラウマでした。(『モナーク』で)避難警報が鳴ったり、得体のしれない何かが迫ってくる恐怖は、2011年の出来事を思い出していました」
タイタン(怪獣)と遭遇するシーンを撮影する際は、制作チームが用意する映像を確認してイメージを掴んでいった。特にゴジラと対峙シーンでは、ゴジラの目を事前にリサーチしてから撮影に臨んだという。
「私はゴジラの目を気にしていて、目のアップの画像を調べてみました。その時、ゴジラは怪物というより生き物だと思ったんです。ゴジラにも心があって、勘違いから人間に攻撃されている。ゴジラはただ生きようとしてるんだという気持ちを、ゴジラの目を見た時に感じました」
グループを卒業してから5年、アンナは目指していた役者の道を着実に歩んでいる。「オーディションもたくさん受けて、その中で1個だけ受かることが日常茶飯事です。『見た目が日本人じゃない』と比較されたりもしますが、そういう時に周りの人が『そんなこと気にしないで、アンナらしく頑張ればいいんだよ』と支えてくれて、気にせずに前に進もうって思えるんです」と周囲の支えが力になっているという。「近くにいる人もそうですし、作品を見てくださる方にも、何か与えてあげられたらいいなと思いながら、コツコツ頑張っています」。世界を代表するゴジラと巡り合ったアンナは、役者としてさらなる飛躍の時を迎えた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
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