監督が私財をなげうって自主制作!時代劇『侍タイムスリッパー』魂を込めた映画作りにキャスト感激
『拳銃と目玉焼』『ごはん』の安田淳一監督の最新作となる時代劇『侍タイムスリッパー』特別上映会が4日、神奈川県の川崎市アートセンター アルテリオ映像館で行われ、山口馬木也、冨家ノリマサ、庄野崎謙(崎はたつさき)、安藤彰則、安田監督が来場した。
各方面で高い評価を受けた自主制作映画『拳銃と目玉焼』『ごはん』の安田淳一監督の最新作となる本作は、現代にタイムスリップした会津藩士・高坂新左衛門(山口)が、時代劇撮影所の斬られ役俳優としての第2の人生に向き合うさまを描いた痛快娯楽作品。東映京都撮影所が制作に協力したということもあり、迫真の殺陣が繰り広げられる。
俳優デビュー以来、数多くの映画、ドラマ、舞台作品に出演してきた山口は、役者人生25年で初の映画主演。上映後、万雷の拍手に包まれた会場内に現れると「皆さんお忙しい中、お越しくださいまして本当にありがとうございます」と晴れやかな様子であいさつした。
自主制作の時代劇という本プロジェクトに、当初は心配な気持ちがあったという山口。「自主制作で時代劇を撮るというのはかなり無茶なことなんです。(現代劇の)何倍もお金がかかるので。それをご自身の私財で撮るということで、どういう画面ができるんだろうと思っていました」。
そのうえで山口は「安田監督は照明やカメラ、スクリプター、編集など、すべてをひとりで担当していたので、(撮影して)画ができるたびにその映像を僕らにも送ってくださったんですが、それを見たら本当にキレイな画面で。そこからはエンジンがかかりましたね」と笑ってみせると、冨家も「いっときは監督の銀行の通帳に7,000円しかないというくらい。私財を投げ打って作ったんだというのが僕らもわかった」と安田監督の映画への情熱に感服した様子だった。
冨家は、物語のキーマンとなる時代劇のスター俳優を演じており、山口との初共演に「山口さんとはいろいろと絡む役だったので、どんな人なのかなと思っていたんですが、本当にお芝居に熱量がある人で。それは監督も一緒でしたが、撮影の日々が重なる度に、マッキー(山口)とああしよう、こうしようと言いながら作品を作っていました」と述懐。さらに「本当にこの作品の脚本が大好き。これだけ魂を込めて作品を作る現場にいられたということが、本当にしあわせな時間でした。インディーズ映画なので、正直言ってなかなか大きな劇場ではかからないと思いますけど、皆さんの口コミでぜひ多くの方に拡散していただけたら」と呼びかけた。
さらに冨家が、本作のスタッフが非常に少人数だったと指摘すると、「現場では監督がカメラを回しているし、照明さんも多くて2人、音声さんが1人。(劇中で助監督を演じた本作のヒロイン)沙倉ゆうのちゃんが実際にも助監督みたいなことをやっていた。この10人に満たない感じで作るというのがインディーズ魂というか。初号を観た時は、監督の思いって画面に出るんだなと思いましたね。そこに監督の映画愛を感じて、感動しました」としみじみ。その言葉に「ええように言うてくれて」と安田監督も感激の表情を見せていた。
終始、大盛り上がりとなったこの日の上映会。最後に「実はこの上映会は、もともと予定されていなかったんです」と明かした山口が、「京都で試写を観たスタッフが、どうしてもこちらでも上映したいと言ってくれて、一生懸命企画してくれたんです。この場を借りてお礼を言わせてください。ありがとうございました」と謝辞を述べると、会場は大きな拍手に包まれた。(取材・文:壬生智裕)
映画『侍タイムスリッパー』は2024年公開予定