鈴木亮平は「本当に努力の人」監督が絶賛 TAMA映画賞・最優秀男優賞!
俳優の鈴木亮平が25日、パルテノン多摩で行われた、第15回TAMA映画賞授賞式に出席。鈴木は『エゴイスト』や『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』の演技が評価され、最優秀男優賞を受賞したが「大先輩たちが作った役者道を継いでいける俳優になりたい」と強い視線で語った。この日は同じく最優秀男優賞を受賞した佐藤浩市、最優秀女優賞を受賞した菊地凛子、黒木華も登壇し、喜びの声をファンに伝えた。
鈴木は「『エゴイスト』において、愛とエゴの狭間で葛藤しながらも恋人と母に注ぐ献身的な愛は繊細で切なく、時に痛々しいほどの表現力だった。入念な準備と深い洞察により強さと脆さを併せ持った主人公・浩輔は実在感あるものとして観る者の心に刻まれた」という評価で受賞。
鈴木は「こんな素敵な賞と身に余るお言葉をいただき幸せです」と笑顔を見せると「撮影は20日間という短い時間でしたが、全員が集中して、ただその場に生きさせてもらいました。夢のような時間でした」と撮影を振り返る。
本作はエッセイスト、高山真の自伝的小説を実写化。鈴木は「高山さんは撮影開始の前にお亡くなりになられました。天国にいる高山さんが出来上がった作品を観て『なにやっているんだ!』と言われないように、自分の体験とは違うかもしれませんが『そうやってくれたなら文句はないよ』とおっしゃってもらえるように撮影に臨んだつもりです」と覚悟を持って作品と向き合ったことを明かす。
授賞式にはメガホンを取った松永大司監督もお祝いに駆けつけた。松永監督は「この作品はゲイの男性が主人公。当事者じゃない自分が演じるのは……という葛藤から始まったのですが、すごくたくさん準備をしてくれました。本当に努力の人。どの役に対しても真摯に向き合って、リサーチする」と鈴木のストイックな役への向き合い方を絶賛する。
鈴木は「いまだに客観的に作品を観ることができない」と特別な作品になったことを明かすと、「だんだん年を重ねるにつれて、きれいごとではなく、いままでの先輩がいかにすごかったかを思い知るようになりました」と苦笑い。それでも「大先輩たちが作った役者道というものがあるならば、それを継いでいけるような俳優になっていきたい。映画館に行って『鈴木の映画を観たいな』と思ってもらえるような俳優になりたいです」と熱い思いを明かした。
同じく最優秀男優賞を受賞した佐藤は、今年も数多くの映画に出演した。佐藤は「こんなロートルがいただいていいのかな」と照れくさそうに語ると、「いつも楽しみにしているのは、いままでやったことがない役に巡り合うこと。40年以上やっていると、なかなかそういうことはないのですが、いつまでもそういう気持ちでいられるように心がけています」とベテランでありながら、常に新しいものを求める姿勢を見せていた。(磯部正和)
第15回TAMA映画賞
▼最優秀作品賞
『怪物』
是枝裕和監督、及びスタッフ・キャスト一同
『雑魚どもよ、大志を抱け!』
足立紳監督、及びスタッフ・キャスト一同
▼最優秀男優賞
佐藤浩市
『春に散る』『せかいのおきく』『仕掛人・藤枝梅安 2』『大名倒産』『キングダム 運命の炎』『ファミリア』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』
鈴木亮平
『エゴイスト』『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』
▼最優秀女優賞
菊地凛子
『658km、陽子の旅』
黒木華
『せかいのおきく』『ヴィレッジ』『映画 イチケイのカラス』『ほつれる』
▼最優秀新進男優賞
目黒蓮
『わたしの幸せな結婚』『月の満ち欠け』
奥平大兼
『君は放課後インソムニア』『ヴィレッジ』『あつい胸さわぎ』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』
▼最優秀新進女優賞
山田杏奈
『山女』
高石あかり(「高」は「はしごだか」)
『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』『Single8』『セフレの品格 決意』『わたしの幸せな結婚』ほか
▼最優秀新進監督賞
福永壮志
『山女』
金子由里奈
『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
▼特別賞
宮崎駿監督(「崎」は「たつさき」)、及びスタッフ・キャスト一同『君たちはどう生きるか』
上田誠氏、山口淳太監督、はじめヨーロッパ企画、及びスタッフ・キャスト一同『リバー、流れないでよ』