明智光秀役の西島秀俊は「マジで吹っ飛んでいた」 安土城のシーンで
北野武監督が本能寺の変を描く『首』(公開中)で織田信長(加瀬亮)の家臣・明智光秀を演じる西島秀俊。2002年公開の『Dolls ドールズ』以来の北野作品となるが、北野監督を「酷い仕打ちを受けるあの可哀そうな光秀をよくやってくれたよね」と言わしめ、とりわけ安土城のシーンでは心配になるぐらいの熱演を見せたという。
天下統一を目指す織田信長に、彼の家臣である荒木村重(遠藤憲一)が反乱を起こして姿を消すところから始まる本作。北野監督自ら主人公・羽柴秀吉を演じ、明智光秀役の西島のほか秀吉を支える軍師・黒田官兵衛に浅野忠信、秀吉の弟・秀長に大森南朋、秀吉に憧れる百姓・難波茂助に中村獅童、徳川家康に小林薫、千利休に岸部一徳と芸達者なキャストが集結している。
本作では信長が欲望のままに生きる暴君として描かれ、その餌食の一人となるのが光秀だ。北野監督はオフィシャル資料のインタビューで「加瀬くんが信長に決まって、じゃあ、明智は誰だ? ってなったときに西島くんしかいないと思った」と光秀役に西島を熱望したことを明かしている。劇中、光秀が信長に「ハゲ」「たわけ」と罵倒され殴る蹴るの暴行を受けることは日常茶飯事で、過激なバイオレンス描写も観られるが、北野監督は「西島くんはアクションも上手いから、信長に蹴り飛ばされる安土城のシーンなどでは“大丈夫かな?”ってこっちが心配するぐらい、マジで吹っ飛んでいたよ」とその役者魂を称えている。
西島のほか役者へのディレクションはリハーサル段階で終えていたと言い、現場では「みんな勝手な判断でやっていた」と北野監督。「今回はそれがすべて当たりだったね。(安国寺恵瓊に扮した)六平直政さんなんか、やり過ぎだよ! って思うぐらいインパクトのある芝居だったけれど、俺が思い描いていた通りに動いてくれたし、(黒田官兵衛を演じた)浅野(忠信)くんもやっぱり芝居が上手いから、俺が細かく言うことは何もなかったね」と名優ぞろいの撮影を振り返っている。(編集部・石井百合子)