綾野剛、声詰まらせる16歳の新星・齋藤潤に「可愛いですね」 かみ合ってはいけない演技貫いた健闘称える
俳優の綾野剛と齋藤潤が12日、都内で行われた映画『カラオケ行こ!』(公開中)の初日舞台あいさつに登壇。自らスピーチを名乗り出て「僕自身こういう映画に、こういうチャレンジングな役で大きく出させていただくのが初めて」と声を詰まらせた齋藤に、綾野が「彼があらゆることに目を背けず、最後までこの映画に立ち向かっていたことを、本当にリスペクトしています」と賛辞を送った。
和山やまの累計発行部数60万部を突破する人気漫画を実写化した本作は、とある事情から歌がうまくなりたいヤクザと、彼の歌の指導をするハメになった合唱部部長の中学3年生の交流を描くストーリー。イベントには共演の芳根京子、橋本じゅん、やべきょうすけ、チャンス大城、坂井真紀、北村一輝、山下敦弘監督も登壇。全員が赤をワンポイントとして入れた衣装で登場し、主題歌「紅」にちなみ“紅”色のテープで会場を染める演出などを行い、初日の会場を沸かせた。
齋藤は冒頭、客席を見回し、感慨深げな表情。「今の気持ちを先に喋ってもいいですか」と自分からスピーチを申し出ると、「僕自身こういう映画に、こういうチャレンジングな役で大きく出させていただくのが初めて。今日からこの作品が放たれるということにまだ気持ちが追いついていない部分がありますが、こうしてこの作品が無事、世に流れるとなって、この作品に携わった皆さんに改めて感謝の気持ちを述べたいです。今、皆さんの前に立てていることが本当に幸せです」と話して声を詰まらせる。
綾野はそんなたどたどしさも残る齋藤のスピーチを真横で聞き、「可愛いですね」と呟いて笑いを誘うと、「とにかく嬉しい」と初日を迎えた心境を述べ、「この映画はたおやかで優しい作品になった」とアピール。また、優しさを感じるような青春物語となったことの一因に齋藤の存在を挙げ、「齋藤潤君の成長もそうですし、等身大の彼の姿を作品に焼き付けようとみなが心から思って集結した。それがこの作品のカラーになっているところがある」と分析する。
さらに、綾野は齋藤について「一緒の船に乗って、一緒に漕いで、みなと同じ船の一員となって頑張っていた」と振り返り、「彼があらゆることに目を背けず、最後までこの映画に立ち向かっていたことを、本当にリスペクトしています」と絶賛。「ヤクザと中学生の間柄で、僕とは噛み合ってはいけない。その状態でずっと存在していないといけないので、不安だったと思います。噛み合ってはいけない状態で最後までやり終えることができて、僕もとても嬉しく思いました」と撮影中の齋藤を慮った。
齋藤も「噛み合ってはいけないので難しかったです。噛み合ってはいけないことも理解できないほど、撮影時は難易度の高さを感じました。現場では二人でいる空間で慣れないでいることをずっと心がけました」と撮影を回顧。母役の坂井もそんな齋藤の演技を横で見ていたといい、「この映画が初めてと聞いていたんですけど、そんなことを感じさせないくらいしっかりしていました。自分のお芝居が納得いかないと思ったら監督に『もう一度やらせてください』ってちゃんと言えて、素晴らしいことだなと思いました」と齋藤の頑張りを称えていた。(取材・文:名鹿祥史)