『ガンダムSEED』最新作、新型機のデザインは18年前に固まっていた!メカデザイナー・大河原邦男に聞く主役MSの美学
人気アニメ「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」に登場するモビルスーツ(MS)を手がけたメカニックデザイナー・大河原邦男がインタビューに応じ、発表から18年を経て完成した最新作『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(1月26日全国公開)に登場する新型機や、20年経っても色褪せぬ主役機フリーダムガンダムのデザインについて語った。
【動画】新型フリーダム&ジャスティスが躍動!『機動戦士ガンダム SEED FREEDOM』本予告編
アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(2004~2005)の続編となる劇場版の製作が発表されたのは、遡ること18年前の2006年。「『DESTINY』が終わったすぐ後に劇場版の製作に入りました。もう18年も前から仕事は進んでいたんです。私も、アニメシリーズからの流れで参加しました。暗黙の了解です」と当時を振り返る。
劇場版には、新型機となるライジングフリーダムガンダムとイモータルジャスティスガンダムが登場する。大河原によると、新型機のデザインは2006年ごろからすでに進められており、「半分近くはフィニッシュに近い状態」だったという。
「そこから時間が経ちましたが、完成した劇場版では、当時描いたデザインの約80パーセントがそのまま採用されています。もちろん、時代の流れに合わせたリライト作業もありました。20年近く前からやり始めた仕事が、ようやく終わったという心境です」
『機動戦士ガンダムSEED』(2002~2003)で主人公キラ・ヤマトが搭乗した主役機フリーダムガンダムは、背部のウイングを広げた状態(ハイマットモード)が神々しく、その美しさは放送から20年経っても色褪せない。大河原は、フリーダムのデザインについて、“主役機の美学”として以下のように語る。
「主役機の美学は、モビルスーツの中心から放射線状にデザインが展開していくこと。千手観音に例えれば、胸部から手が放射線状に広がっていきますよね。主役機を作る時は、それを心がけています。ウイングも、放射線状に広がれば、その分神々しさがでますよね。私がデザインする時は、洋服や仏像、民族衣装や彫刻作品などからヒントを得ることが多いです」
アニメシリーズから進化する部分はありつつ、デザインにどこか懐かしさを残した大河原。「今『ガンダム』ファンになった人は、少し古く感じるかもしれないですが、『ガンダムSEED』ファンにとっては懐かしく、涙が出ると思います」と自信をのぞかせる。
「アニメは集団で作るものなので、お互いに信頼できる仲間がいるのはすごく大事なこと。『この人に任せておけば、私がデザインしたメカも魅力的に表現してくれる!』という信頼関係を築くことが大好きです。福田己津央監督は、もう随分修行して慣れているので、私が線を描いたものに命を吹き込み、画面で大活躍させている。こんな幸せなことはないです」
『ガンダムSEED』を応援してきたファンに向けて、大河原は「何年ぶりかに昔に戻ってくださいという感じですね。それが一番大切です」と呼びかけた。「もし、次の作品がほしいということになったら、福田監督が頑張ると思います。福田監督も山根さん(山根公利メカニックデザイナー)も若いですし、続編の可能性は色々とあるとは思います」(取材・文:編集部・倉本拓弥)