「キネマ旬報」ベスト・テン主演女優賞の趣里、体調不良で表彰式を欠席 代理の塚本晋也監督「本物の俳優と仕事ができて光栄」
映画雑誌「キネマ旬報」が主催する映画賞「第97回キネマ旬報ベスト・テン」表彰式が18日、Bunkamuraオーチャードホールにて開催され、趣里が、映画『ほかげ』にて主演女優賞を受賞。この日登壇予定だった趣里は体調不良のため急きょ表彰式を欠席したが、作品のメガホンを取った塚本晋也監督が代理で出席し、趣里の俳優としての魅力を大いに語った。
【画像】アイナ・ジ・エンドが華やかなドレスで魅了!第97回キネマ旬報ベスト・テン表彰式
趣里は『野火』や『斬、』などを手掛けた塚本監督が戦争をテーマに描いたヒューマンドラマ『ほかげ』で主演女優賞を受賞。本作で、家族を戦争で亡くし、半分焼け残った小さな居酒屋を営みながら暮らしている女を演じた。
この日は残念ながら体調不良により表彰式は欠席となってしまったが、代理で登壇した塚本監督は「僕もこのトロフィーを持っているところを見たかった。早く体調が良くなることを祈っています」と語ると、趣里の芝居に対して「体全体から鋭敏なアンテナが出ていて。さまざまなことを感じ取ってお芝居に活かすことで、相手の演技も引き出す」と特徴を述べる。
さらに、趣里の一挙手一投足に「迫力がある」と現場で感じていたことを明かし、「この映画では『戦争が近づいている』というシンプルなメッセージを、演技とセリフでお客さんに見せてくれた。本物の俳優さんと仕事ができて光栄です」と感謝した。
本作では、撮影も務めた塚本監督は「趣里さんが出してくれる演技をこぼさないように心がけていました」と魅力のすべてをスクリーンに活写。その作品が評価されたことに「趣里さん、おめでとうございました」と主演女優賞を祝福していた。
「キネマ旬報」は、1919年(大正8年)に創刊され、ベスト・テンの選出は1924年度(大正13年)に始まった。ベスト・テン及び各賞の選考者は、映画を多く見ている者に厳しく限定され、2023年度は映画評論家、ジャーナリストなどのべ120名以上で行われた。(磯部正和)
2023年 第97回キネマ旬報ベスト・テン
【作品賞】
日本映画第1位『せかいのおきく』(監督:阪本順治)
外国映画第1位『TAR/ター』(監督:トッド・フィールド)
文化映画第1位『キャメラを持った男たち -関東大震災を撮る-』(演出:井上実)
【個人賞】
日本映画監督賞 ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』
日本映画脚本賞 阪本順治『せかいのおきく』
外国映画監督賞 トッド・フィールド『TAR/ター』
主演女優賞 趣里『ほかげ』
主演男優賞 役所広司『PERFECT DAYS』『ファミリア』『銀河鉄道の父』
助演女優賞 二階堂ふみ『月』
助演男優賞 磯村勇斗『月』『正欲』『渇水』『最後まで行く』『波紋』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』
新人女優賞 アイナ・ジ・エンド『キリエのうた』
新人男優賞 塚尾桜雅『ほかげ』
読者選出日本映画監督賞 瑠東東一郎『Gメン』
読者選出外国映画監督賞 マーティン・スコセッシ『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
読者賞 川本三郎 連載「映画を見ればわかること」