磯村勇斗、キネ旬助演男優賞受賞!『月』難役に並々ならぬ覚悟
映画雑誌「キネマ旬報」が主催する映画賞「第97回キネマ旬報ベスト・テン」表彰式が18日、Bunkamuraオーチャードホールにて開催され、磯村勇斗が『月』『正欲』などで助演男優賞を受賞。磯村は『月』への出演について熱い胸の内を明かした。
磯村は受賞のトロフィーを持つと「とても重みのある賞をいただけて非常に嬉しく思います」と感無量の表情を浮かべると「デビュー前から『キネマ旬報』は読んでいて、この雑誌に書いてあることはすべてだと思って生きていました。それぐらい映画を教えていただいた。そんな雑誌の賞の式に立てていることが非常に感慨深いです」とあいさつ。
磯村は『月』『正欲』『渇水』『最後まで行く』『波紋』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』での演技が評価され助演男優賞を受賞。「多くの作品を評価していただきました。一緒に作っていろいろサポートしてくださった製作陣の皆さん、共演者の皆さんに感謝の気持ちを伝えたいです」と笑顔を喜びを語った。
出演作が続く磯村。撮影期間もタイトで、『月』と『正欲』の間は、ほぼ時間が空かなかったという。しかも『月』で演じたさとくんは、非常に難役で多くの映画ファンにその演技は衝撃を与えた。磯村は「さとくんは本当に難しい役で、撮影が終わったら絶対時間を空けようと思っていたのですが、『正欲』という素晴らしい企画のお話を聞いてしまったので、期間を設けなくてもどうしてもやりたいと思った」と心揺さぶられる作品に出会い続けた1年だったという。
司会者から『月』について「19人を殺害してしまった事件をモチーフにした役柄。演じることに躊躇はなかったのか」と問われた磯村は「やると決めたときから、覚悟を持って最後まで乗り切りたいと思っていたので、作品に入ってしまったら、誰から何を言われようが、背負うつもりでやりました。怖さはなかった」と熱い胸の内を吐露。
それでも磯村は「一つだけ怖かったのは、もしこの映画を観て、第2のさとくんが誕生してしまったら、それは危険だなというのは、常に(石井裕也)監督と話していました」と明かすと「そうならないように、いろいろ試行錯誤しながらやっていました」と撮影を振り返った。
また『月』で助演女優賞を受賞した二階堂ふみもこの日登壇。二階堂は「すごく難しい責任を伴う役だと思ったのですが、磯村くんの覚悟を感じる瞬間も多くありましたし、しっかり向き合われて演じていたと感じました」と称賛すると、磯村も「(二階堂の役柄は)嫌な女でしたが、本当は素敵な役者さん。中身もとても柔らかく尊敬できる役者さん。今回初めて共演できて、とても嬉しかったです」と笑顔を見せていた。
「キネマ旬報」は、1919年(大正8年)に創刊され、ベスト・テンの選出は1924年度(大正13年)に始まった。ベスト・テン及び各賞の選考者は、映画を多く見ている者に厳しく限定され、2023年度は映画評論家、ジャーナリストなどのべ120名以上で行われた。(磯部正和)