『マダム・ウェブ』にウォン・カーウァイ作品の影響 S・J・クラークソン監督、2000年代映画を徹底研究
『スパイダーマン』シリーズの米ソニー・ピクチャーズが製作したマーベル新作映画『マダム・ウェブ』のS・J・クラークソン監督がリモートインタビューに応じ、本作が香港の人気監督ウォン・カーウァイの作品から影響を受けていることを明かした。
【画像】美しい…蜘蛛の巣ドレスを着こなしたダコタ・ジョンソン
未来予知能力を持つマダム・ウェブは、原作コミックでスパイダーマンを救う重要なキャラクターとして描かれていた。映画化作品は、予知能力を手にした主人公キャシー(ダコタ・ジョンソン)が、マダム・ウェブとして覚醒していくさまを本格ミステリー・サスペンスとして描き出す。
本作の舞台は、2003年のニューヨーク。街ではブリトニー・スピアーズの楽曲が流れ、現実世界ではサム・ライミ版『スパイダーマン』1作目(2002)が公開された翌年だ。「2003年は私にとってもエキサイティングな年だったので、今作で再現できたことはとても楽しい経験でした」と語るクラークソン監督は、当時の雰囲気を再現するべく、2000年代前半に公開された映画を徹底研究。参考になった作品の中には、ウォン・カーウァイ監督の名作も含まれていた。
「2000年代前半は私も鮮明に覚えている年代ですが、当時のトーンを再現するためにたくさんの映画を観ました。 ウォン・カーウァイ監督の『花様年華(かようねんか)』(2000)は映画のトーン決めの参考になりました。みなさんが観る映像が、いかに特別でユニークでフレッシュであるのか。異なるジャンルの映画を観て研究しました」
本作が初の劇場映画となるクラークソン監督は、マーベルドラマ「Marvel ジェシカ・ジョーンズ」(2015)を手がけた人物としても知られている。マーベルキャラクターの実写化を一度経験したことが、『マダム・ウェブ』製作への興味につながったという。
「『ジェシカ・ジョーンズ』を手がけていた時も、予想以上に楽しかったです。初めて台本を読んだ時は、マーベルコミックについて詳しくなかったのですが、『ジェシカ・ジョーンズ』のグラフィック・ノベルをもらった時から夢中になってしまいました。キャラクターやストーリーも素晴らしかったです。ジェシカ・ジョーンズを実写化できたことは、『マダム・ウェブ』への興味につながりました。二人には共通点がたくさんありますが、同じことを二度繰り返しても面白くありません。『マダム・ウェブ』のオファーを受けた時、マーベルの世界観にサイコ・スリラーを持ち寄るチャンスだと考えました」
『マダム・ウェブ』では「全く新しい世界観を構築する機会をいただけた」というクラークソン監督。「原作のキャラクターを用いて、彼らのオリジン・ストーリーがどんな話なのか、各登場人物の出生や現在に至るまでにどんな道を辿ってきたのか。“バイブル”である原作を参考に、キャラクターの特徴や能力をつかみ、マダム・ウェブの物語を実写の世界に移していきました」
マーベル映画といえば、至るところに隠されているイースターエッグ(小ネタ)もお楽しみ要素の一つだ。クラークソン監督曰く、本作でも小ネタが数か所に散らばっているとのことで、「マダム・ウェブは1980年代に原作デビューしたキャラクターで、映画ではコミックに関する小ネタがいくつか見られるはずです。ですが、今作は全く新しいキャラクターと世界観を描いているので、『マダム・ウェブ』が独立した作品として見えるように意識しました」と説明していた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
『マダム・ウェブ』は2月23日全国公開