『デューン 砂の惑星PART2』宿敵フェイド=ラウサとは?血に飢えた戦士の歴史を徹底予習
名作SF小説をティモシー・シャラメ主演で映画化した『DUNE/デューン 砂の惑星』の続編『デューン 砂の惑星PART2』。本作で初登場する重要人物の一人が、主人公ポール・アトレイデス(ティモシー)の宿敵フェイド=ラウサだ。原作小説でも人気が高いこのキャラクターは、一体何者なのか。原作や過去の映像化作品をもとに紐解いていく。
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主人公・ポールの一族であるアトレイデス家と、フェイド=ラウサの一族であるハルコンネン家は、古くから対立する家柄だ。しかも、ポールは亡き父の跡を継ぐ新たな当主であり、フェイド=ラウサは次の当主となる人物で、立場的にも同等の位置にいる。高い戦闘能力を持つのはポールと同じだが、性格はポールとは真逆で非情かつ残忍。相手の痛みはもちろん、自身の痛みすらも楽しむ、血に飢えた戦士だ。そのフェイド=ラウサが砂漠の惑星アラキスへと放たれ、ポールと対決することになる。
原作小説&過去の映像化作品でのフェイド=ラウサ
映画での設定は、原作とほぼ同じ。彼はハルコンネン男爵(ステラン・スカルスガルド)の暴力的な甥・ラッバーン(デイヴ・バウティスタ)の弟。予告編には、ハルコンネン家の惑星にある闘技場での強烈な戦闘シーンが登場するが、これも原作に存在するものだ。
原作におけるハルコンネン男爵は、最初からラッバーンよりもフェイド=ラウサを贔屓していて、胸中で「愛しのフェイド=ラウサ」と考えるほど。惑星アラキスは、ラッバーンに侵略させて住民たちの憎まれ者にした後、彼を排除して、フェイド=ラウサに統治させようと計画している。また、次期男爵はフェイド=ラウサだとも発表している。
同名小説をデヴィッド・リンチ監督、カイル・マクラクラン主演で映画化した『砂の惑星』(1984)では、フェイド=ラウサは人気バンド「ポリス」のフロントマンで、現在はソロで活動するミュージシャン・スティングが演じた。スティング版フェイド=ラウサが観客の喝采を浴びたため、今回のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版では誰が演じるのかと、前作製作時から話題となっていた。
ヴィルヌーヴ監督版フェイド=ラウサはどう描かれる?
では、本作におけるフェイド=ラウサはどんな人物なのか。ヴィルヌーヴ監督は英Empire誌のインタビューで、『エルヴィス』のオースティン・バトラーがこの役を務めたことで「サイコパスな殺人者とオリンピック級の剣の達人、ヘビと(ローリング・ストーンズの)ミック・ジャガーの中間のような人物」にしてくれたと語っている。
また、ハルコンネン男爵を演じたステランは、NYプレミアの会場で本作のフェイド=ラウサを最初に見た時について聞かれた際、「笑ってしまったよ。見るだけで、オースティンが邪悪なものになることを本当に楽しんでいることがわかったからね」と発言している。どんなフェイド=ラウサが出現するのか、スクリーンで確かめたくなる。
フェイド=ラウサを演じたオースティンは、新作が目白押しの注目株だ。まず、彼が主演したスティーヴン・スピルバーグ製作の空軍ドラマシリーズ「マスターズ・オブ・ザ・エアー」がApple TV+で配信中。また、トム・ハーディ共演のバイカー映画『ザ・バイクライダーズ(原題)/ The BIleriders』も撮影済み。人気作家ドン・ウィンズロウが、1980年代のギャングを描いたクライムノベル『業火の市』を映画化する『シティ・オン・ファイア(原題)/ City On FIre』に主演する企画も、ソニー・ピクチャーズ傘下の3000ピクチャーズ製作で進んでいる。
ほかにも、新作企画の噂が続々と浮上している。『ボーはおそれている』のアリ・アスター監督によるダークな西部劇とされるA24の新作映画『エディントン(原題)/Eddingon』や、『ザ・ホエール』のダーレン・アロノフスキー監督の新作サスペンス(タイトル未定)に出演するとの噂も。こんな噂が出回るのも、フェイド=ラウサ役のインパクトが大きいからかもしれない。来年度の賞レースにも期待がかかる、オースティン版フェイド=ラウサに注目だ。(文・平沢薫)
『デューン 砂の惑星PART2』は3月15日全国公開 (3月8日~10日に先行上映)