山田尚子監督、新垣結衣にダメ元で声優オファー
山田尚子監督と映画プロデューサーの川村元気が18日、都内で行われたアニメーション映画『きみの色』(8月30日公開)の製作報告会に出席。1,600名を超えるオーディションを経て主人公3人の声優を射止めた鈴川紗由、高石あかり(※高は「はしごだか」)、木戸大聖、そして3人を導くキーマンを演じる新垣結衣の起用の経緯を語った。イベントには鈴川、高石、木戸も登壇した。
本作は、人が色で見える女子高校生・日暮トツ子と、トツ子と同じ学校に通っていたが突然中退した作永きみ、離島に住む音楽好きで物静かな男の子・影平ルイ、それぞれ誰にも言えない悩みを抱える3人が音楽で心を通わせていくストーリー。『映画 「けいおん!」』『映画 「聲の形」』などの山田尚子が監督を務め、脚本を山田監督と「けいおん!」シリーズ以降、度々タッグを組んできた吉田玲子、音楽・音楽監督をアニメ「チェンソーマン」などの牛尾憲輔、キャラクターデザイン・作画監督をNetflixアニメ「DEVILMAN crybaby」や映画『映画ドラえもん のび太の新恐竜』などの小島崇史、キャラクター原案をイラストレーター、デザイナーのダイスケリチャードが務める。
会場では本作の映像(スペシャルPV)が公開され、山田監督と川村プロデューサーが登場。本作がアメリカ、イギリス、イタリア、韓国での上映も決定したことなどが発表された。またトツ子の通う学校のシスターで、同校の卒業生でもあるシスター日吉子の声を新垣結衣が担当することも発表され、新垣のビデオメッセージも紹介された。
山田監督は新垣のビデオメッセージを聞くと「感無量です」と述べ、新垣の起用について「私自身、テレビや映画でしか彼女を知らなかったんですけど、勝手な思い込みで彼女は芯が強くてぶっきらぼうなくらい真面目な方なんじゃないかなって想像していたんです。でも茶目っ気もあって、まさにシスター日吉子にぴったりだなって思ったんです。ダメ元でオファーしてみました」とオファーの経緯を話す。
実際に本作を通じて新垣と仕事をした印象について「素晴らしかったです」と振り返り、「この物語は日吉子の物語であると言ってもいいんです。作品を編み込むような役割、それを真面目に受け取ってくださって、セリフも一つ一つ、イントネーションの違いから大事にしてくださって、ものすごく感激しました」と絶賛していた。
また、1600人の中からオーディションで主演キャストを選んだ経緯も振り返り、トツ子役の鈴川を選出した理由について「決め手は独り言が可愛かったこと。オーディションの台本の中にトツ子が一人で猫に話しかける場面があるんです。そこでまず“ひと耳惚れ”したんです。お会いした時もトツ子にしか見えなかった」と紹介。きみ役の高石については「午前中だったんですけど、早い時間なのに2リットルの水をほぼ空の状態で持ってきていて、そこから溢れる不思議な魅力の虜になりました。実際、言葉を聞くと、耳に残る不思議な音をしてるなって」、ルイ役の木戸については「もっている雰囲気の柔らかさ、普段、普通に話される時の声のトーンや色味が私の想像する影平にぴったりだった」と明かした。
川村プロデューサーは山田監督との仕事について「僕自身が山田監督のファン。『けいおん!』も好きだし、『たまこまーけっと』も好き。『映画 「聲の形」』の演出も度肝を抜かれた。新海誠監督も“嫉妬を感じる才能だ”と言っていました。海外でも“山田監督の新作はまだか”とよく言われるんです」と述べ、「山田監督の最新作をやるよとなった時に、優れたアニメーターが“山田さんなら”と集まってくれた。(実際仕事を一緒にし)セリフとセリフの間に感情がたくさん詰まっていて、これが山田尚子なんだなって思いました。楽しかったです」と充実の表情を見せていた。(取材・文:名鹿祥史)