吉沢亮主演、呉美保9年ぶりの長編監督作『ぼくが生きてる、ふたつの世界』9月公開決定!
俳優の吉沢亮が主演を務め、『そこのみにて光輝く』などの呉美保監督が、長編作品としては9年ぶりにメガホンを取った映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』が9月に公開されることが決定し、新キャストが発表された。
本作は、コーダ(Children of Deaf Adults/きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供という意味)という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた 30 のこと」を実写化。吉沢が五十嵐を演じ、耳のきこえない母ときこえる息子の物語を繊細に紡ぐ。脚本を『ゴールド・ボーイ』『正欲』などの港岳彦が担当した。
新キャストとして、五十嵐のろう者の両親を演じる、母・明子役の忍足亜希子、父・陽介役の今井彰人をはじめ、ユースケ・サンタマリア、烏丸せつこ、でんでんら、脇を固める個性豊かな俳優陣全5名が明らかに。ろう者俳優として活躍する忍足は、「私は五十嵐大さんの家庭とは逆の境遇で、私は生まれつき きこえない子供で、きこえる親から生まれ、きこえる世界で育ちました。 自分は何者なのか孤独感や苦悩と葛藤しながらも、きこえる世界ときこえない世界を行き来するという、同じ立場だからこそ、とても共感しました。 コーダの世界をひとりでも多く知ってもらえる良い機会になれば見方も変わると思います」とコメントを寄せた。
また併せて公開されたウェブ限定の超特報は、橋梁を走る列車の車窓からはじまり、駅のプラットォームで、故郷・宮城から上京するための列車を待つ五十嵐の姿が映し出される。“きこえる世界”の彼が見つめているのは、“きこえない世界”の母の後ろ姿。そして彼を乗せた列車が新緑のトンネルをぬけ進んでいく。母のことを思いながら、未来への思いを馳せる五十嵐の表情が静かながら心に残る映像となっている。
さらに、上京する電車の中の一幕を切り取ったティザーポスタービジュアルも公開。原作の表紙も撮影した、写真家・文筆家として活躍する齋藤陽道が撮影を担当しており、車窓をまっすぐに見つめる瞳には故郷への思い、そして未来への期待が込められている1枚となっている。(高橋理久)
原作者・五十嵐大のコメントは以下の通り。
五十嵐大(原作者)
ふたつの世界に挟まれ、まるで揺蕩(たゆた)うように生きるコーダについて説明するのは、いつだって難しい。だからこそ、理解してもらうことを諦めていた時期もありました。でも、社会は少しずつ前進していて、ようやく、コーダが抱える葛藤にも目が向けられるようになりました。子どもの頃の自分がいまの状況を目にしたら、「世の中は捨てたもんじゃないな」と思うかもしれません。完成した映画は、想像を遥かに超えるものでした。コーダの苦しみが描かれつつも、そこにあるのは普遍的な親子の愛情です。きこえない母ときこえる息子がどんな愛情を紡いでいくのか、ひとりでも多くの方に観ていただけることを願っています。