「光る君へ」三浦翔平が自ら提案したシーン 第18回は「伊周が崩れていく序章」
吉高由里子主演の大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で亡き関白・藤原道隆(井浦新)の嫡男・伊周を演じる三浦翔平。5日放送・第18回では自信家の彼のプライドを打ち砕く事件が勃発したが、三浦は「優雅で美しい伊周が崩れていく序章」だと振り返っている。放送後、ドラマの公式Xなどで公開されたキャストのインタビュー動画「君かたり」内で語った。
第18回「岐路」は、道隆が亡くなってから10日後のこと。公卿の間では次の関白は道隆の弟で右大臣の道兼(玉置玲央)なのか、内大臣の伊周なのかと噂されていたが、参議・藤原実資(秋山竜次)らは伊周が若すぎるうえに「道兼殿は帝の叔父だが、伊周殿はいとこにすぎぬ。どう考えても次の帝は道兼殿がなるのが順当(決して好きではないが)」との考え。結果、一条天皇(塩野瑛久)は道兼を関白とした。このとき、伊周は顔を引きつらせながらも「お上がお決めあそばれたことに誰が異を唱えましょうか」と耐えていたが、道兼があっけなくこの世を去り、伊周は今度こそ自身が関白となるものと思い込んでいた。しかし、一条天皇は皇太后・詮子(吉田羊)の必死の説得を受けた翌日、道兼の弟で権大納言である道長(柄本佑)に内覧宣旨を下した。
道隆の露骨な身内びいきにより、異例のスピード出世を遂げてきた伊周。父亡きあとは、妹の定子(高畑充希)への一条天皇の寵愛を頼りに出世をもくろむが、この思わぬ展開に三浦は「いよいよ政権とるぞってときにこうなっていってしまったのでもちろん動揺もありますし、ほぼほぼ確定していたと思っていた矢先の出来事だったので信じられないという気持ちと、なぜそうなってしまったのかというところからどんどん絶望に入っていくんですけど、父(道隆)がとれなかった天下を自分がとらなきゃいけないという使命感もあるし、自分以外じゃダメだっていうところもあるのでそれもまたプレッシャーになっていったのかもしれないですね」と伊周の気持ちに想像を巡らせると同時に「すごく今まで由緒正しきというか非常に優雅で美しい伊周としてやってきたのがどんどん崩れていく序章です」とも語る。
怒りを爆発させた伊周は定子のもとに乗り込むと「帝のご寵愛は偽りであったのだな。年下の帝のお心なぞどのようにでもできるという顔をしておきながら何もできていないではないか!」と責め、「わたしは内覧を取り上げられたうえに内大臣のままだ!」と屈辱をぶちまけ、定子の顔を凝視しながら「こうなったらもう中宮様のお役目は皇子を産むだけだ」「皇子を…産めっ!」と凄まじい勢いで迫った。前話でも道隆が定子に皇子を産めと迫るシーンがあったが、三浦はこのシーンを受けて演出にある提案をしたという。
「やはり道隆がいなければこうなっていないし、自分の一番信頼する人間であり父であり、進むべき指針を示してくれた人なので、「父のようになりたい」「父を超えたい」「父に喜んでもらいたい」という憧れの存在でもあるし、愛してくれる父親ですし、たださっきの(定子に「皇子を産め」と詰め寄る)シーンでは始まる前に道隆の「皇子を産め」というシーンがあるんですけど、そこを見せてもらってそこをリンクさせたいなという思いがあったので監督と話して「道隆が乗り移っているかのようなシーンにしてほしいです」とお願いをして撮りました」
一方、一条天皇に対しては思惑もありつつ、複雑な思いがあると話す。「定子、妹とくっついてそこでうまくいけば政治を乗っ取れると思っている野望もあるんですけれど、気持ち的にはやっぱり非常に仲のいい弟のような存在でもあり、ちゃんとした場所では天皇として敬い、周りがいないときには非常に仲の良いシーンもあるので、近しい存在ではあるはずなんですよ。だからこそさっきのシーンで「信頼していたのにそっちなの?」っていう気持ちでもあると思うんですよね」
大河ドラマへの出演は本作が初となる三浦。これまでは道兼がいわゆる“問題児”のポジションを担っていたが、そのバトンは伊周へと引き継がれることとなりそうだ。三浦自身「優雅で美しい伊周が崩れていく序章」と語っているとおり、今後の変貌に期待が高まる。(編集部・石井百合子)