アンジェラ・アキ、10年ぶり再始動に感無量 ミュージカル「この世界の片隅に」楽曲に昆夏美&大原櫻子も脱帽
アーティストのアンジェラ・アキが10日、日生劇場にて行われた、自身が音楽を制作したミュージカル「この世界の片隅に」開幕記念会見に出席し、本作に込めた思いを語った。会見には、主人公・浦野すずをダブルキャストで務める昆夏美と大原櫻子、北條周作役の海宝直人と村井良大も出席した。
すずさん役に昆夏美・大原櫻子!ミュージカル「この世界の片隅に」会見フォトギャラリー
こうの史代による原作漫画を、ミュージカルとして初上演する本作。太平洋戦争下の広島県呉市を舞台に、ある一家に嫁いだ女性を中心に、そこで暮らす人々の美しい日々の営みが、淡々と丁寧に描かれる。
アメリカの音楽大学への留学を機に、2014年に日本での無期限活動休止を発表していたアンジェラ。そこから10年、ミュージカル音楽作家として本作を手掛け、昨日、無事に初日を迎えたことに「この作品と共に4年近くの歳月を費やしてきました。一人でピアノに向き合って作ってきたものが、演者さんたちによって新しい曲になり、お客さんと一緒に自由な色に染まっていくような感じがします」と心境を明かす。
こうのの原作に向き合い、オリジナル楽曲をおよそ30曲生み出したというアンジェラは「苦労した点はいくつもあります」と切り出すと「原作の持つ温かさ、ピュアな部分をどうやって音楽にするのか、さらに(演出・客脚本を務めた)上田一豪さんの素晴らしい本をどう支えられるか」と曲作りで大切にしたことを明かす。さらに「最初に『醒めない夢』と『端っこ』(という楽曲)が出来上がったのですが、この曲ができてからは、少し乗り超えられた感じがしました」と制作過程を振り返った。
そんなアンジェラの楽曲について、昆が「お客さまの前で歌うとき、役者は悦に入ってしまってはいけないのですが、とても没入感のある楽曲が多い」と語ると、大原も「初めて『端っこ』と『醒めない夢』を聴いたとき、涙が止まらなかった。どの曲もとても懐かしい感じがする曲たちです。お一人から生まれたと思えないぐらいバラエティに富んでいる」と脱帽していた。
アンジェラは、自身が作り上げた楽曲を歌う俳優たちに「100点満点」と太鼓判を押し、「皆さんのお芝居に圧倒されます。言葉を発しないシーンでも号泣してしまう。すごい演技力でした。特に最後の方のすずと、妹のすみちゃんの会話のシーンは、涙せずには見られません」と感想を述べていた。(磯部正和)
ミュージカル「この世界の片隅に」【東京公演】2024年5月9日初日~5月30日千穐楽:日生劇場/【全国ツアー公演】2024年6月~7月:北海道、岩手、新潟、愛知、長野、茨城、大阪、広島(呉)ほか