斉藤陽一郎、21年ぶり単独主演作の満席に感慨「お客さんが入るかドキドキしてた」
俳優の斉藤陽一郎が11日、都内で行われた主演映画『蒲団』の初日舞台あいさつに登壇した。本作で『軒下のならずものみたいに』(2003年)以来、21年ぶりに映画単独主演を果たした斉藤は、客席を見回し「満席です! 昨日までお客さんが入るかドキドキしてたんです」と感慨深げな表情を見せた。壇上には斉藤のほか、共演者の秋谷百音、片岡礼子、山嵜晋平監督も登壇した。
本作は、小説家・田山花袋が明治40年に発表した代表作「蒲団」を原案にした人間ドラマ。舞台を明治から令和、主人公の設定を小説家から脚本家に置き換え、師弟関係にある若い女性に恋した中年脚本家の苦悩を描く。
弟子に恋する脚本家・竹中時雄を演じた斉藤は「時雄はうだつの上がらない、ダメな、普段から酔っ払った、だらしない人間……。これをぴったりだと思ってキャスティングしたのなら失礼だなって」とジョークを交えつつ笑顔。「釈然としないながらも、ぜひとお願いしたんです。もちろん現場では僕は別にダメな人間じゃないですから……いかにダメに近づくかを努力しました」と撮影を振り返る。
また同時に「田山花袋の作品が100年経って映画になるとは思っていなかったんです。時雄はまさに、時を駆けたなって思いました」とも語った斉藤。原作小説は主人公が布団の匂いを嗅ぐシーンが有名だが、斉藤は「僕も新車の車の匂いとか好き。匂いフェチなんです。最近も新宿伊勢丹の1階の匂いが好きで……」と自身も匂いに敏感であると紹介。また、匂いを嗅ぐシーンにちなんで、「蒲団」という名のファブリックミストを自ら開発したことも明かし、来場した客にプレゼントしていた。
最後に斉藤は「こないだとある後輩の男の子から声をかけられて『鴨団、頑張ってください』って……。『蒲田でしたっけ』とも言われ、『蒲団』というタイトルが浸透していないんだなって。宣伝がうまくいってない」と再びジョークを飛ばし苦笑い。それでも、「蒲田、鴨団って間違えててもいい。とにかく観に来てほしい」とも茶目っ気たっぷりに呼びかけ、この映画のことをぜひ皆さんにも広めていただきたいです」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)