主演作がカンヌ上映…快進撃続く河合優実、愛情が持てる作品を「引き寄せる」方法
第77回カンヌ国際映画祭
第77回カンヌ国際映画祭監督週間で主演作『ナミビアの砂漠』(山中瑶子監督)の公式上映を終えた女優の河合優実がカンヌの地でインタビューに応じ、愛情が持てる作品を「引き寄せる」方法について語った。
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2021年の『由宇子の天秤』『サマーフィルムにのって』などで映画ファンに注目されていた河合は、今年1月期放送のドラマ「不適切にもほどがある!」で一気にブレイク。現在は地上波ドラマ初主演作「RoOT / ルート」が放送中のほか、カンヌ映画祭監督週間に選ばれた『ナミビアの砂漠』、そして『あんのこと』『ルックバック』など主演作が続き、まさに飛ぶ鳥落とす勢いだ。
『ナミビアの砂漠』に主演することになったきっかけは、学生時代に山中監督の第1作『あみこ』(2017)を劇場で鑑賞してほれ込み、別日にもう一度上映を観に行った際に、同作に出演していた俳優に監督を紹介してもらい、山中監督に「俳優になりたいです。いつか映画を作る際にはわたしをキャスティングリストに入れてください」と自ら売り込んだことだった。河合は「事務所に入る前からお話ししているという点でスパンも長かったですし、実現することになった時からうれしく、撮影も楽しみにしていました。(実際の撮影では)感覚が合うと感じました」と山中監督との念願のタッグを振り返る。
その行動力で実現にこぎ着けた本作しかり、作品選びにも能動的に取り組む姿勢は日本の若手俳優には比較的珍しいといえる。「わたしも高校3年生の時に事務所に入ってまだ5年しかたっていないので、何も勝手がわからないところから始めています。事務所もマネージャーさんも作品のことをすごく考えてくれ、わたしに合うだろうという作品を取ってきてくれたり、薦めてくれたり、オーディションを受けさせてくれたり……。そうしていくうちに自分の好みやどういうものに興味があるかがわかってきて、相談するようになりました」
「自分が関わる身として、どういう作品に興味があるかというのをちゃんと思っていないといけないと思います。それを口に出せば、たとえ出さなくてもちゃんと思っていれば、そういう作品を“引き寄せる”のだと、すごく愛情を持てる作品に多く出会えてきたなという実感があります。そして、そういうものに出会うと、どんどん自分がどういう道を行きたいかという感覚も鋭くなってくると思います」
何に対しても情熱を持てない一方で内には激しさも秘めた現代の若者カナにふんした『ナミビアの砂漠』には、カンヌで拍手喝さいが贈られた。「上映前は緊張より楽しみな気持ちの方が大きかったのですが、上映が終わった後に体が震え出して、心臓がバクバクし始めました。終わったはずなのに(笑)。興奮しすぎてなのかな? 『何これ! 何これ!』って感じでドキドキしちゃったんですけど、そのくらいすごい経験でしたね」と初カンヌは予想以上のものだった。
「カンヌにいる間に映画を何本か観られたんですけど、お客さんたちが素直で、あんまりよくない時はよくない空気が漂うし、いい時は拍手喝さいで『フー!』みたいなのが止まらない。『ナミビア』の時はちゃんと盛り上がってくれていたので、『この反応はお世辞じゃないんだな』と思い、すごくうれしかったです」と笑顔を見せる。
その特別な経験を経ても、「ただカンヌでお祝いできてよかったねということじゃなくて、何か持ち帰れるものがあるといいと思う。今後に生きることが絶対あると思うので」と浮つくことはない河合。「『ナミビア』をやったことで、『妥協しないで面白いものを作ろうとしたらやっぱりできたじゃん!』という気持ちにすごくなり、可能性をもっとどんどん探っていきたいなと思いました。“いろいろあるし、ここまでしかできないや”みたいなことをできるだけ思わないようにしたいし、ドキドキする作品にいっぱい出会いたいなと思います」と決意を新たにした河合は、今後ますます快進撃を続けることになるだろう。(編集部・市川遥)
映画『ナミビアの砂漠』は2024年夏公開