「光る君へ」岸谷五朗、宋語ゼリフマスターも演出から思わぬリアクション
吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)でまひろの父・為時を演じ、話題沸騰の岸谷五朗。越前守となった為時は前話・第21回「旅立ち」の終盤、まひろを連れて越前に渡り、2日放送の第22回「越前の出会い」では左大臣・道長(柄本佑)の見込み通り、為時の能力が早々に発揮されることとなったが、演じる岸谷は「聞いていなかった」と本エピソードで思わぬ苦戦を強いられることになったという。第22回放送後、公式Xなどで公開されたインタビュー動画「君かたり」内で語った(※一部ネタバレあり)。
もともとは淡路守を任じられていた為時だが、越前守になる予定だった源国盛(森田甘路)がとんだ“うつけ”で漢語がからきしダメという事実が判明したこと、さらにまひろが父に代わって道長に申し文を書いたことから青天の霹靂のごとく、為時が越前守に。生真面目で博学ながら世渡り下手な性格が災いして長年官職を得られなかった為時に、ついに運が巡ってきた。第21回では道長から「宋人たちを国に帰せ」という難題を突き付けられ頭を抱える一幕もあったが、為時が越前守となった心境について、岸谷はこう語る。
「当然やる気に満ちていて、為時という人は人の恩をちゃんと返さなければならないということを常に思っている人で、こういうことになったのはどなたのおかげで、どなたの心配りでありっていうことをちゃんとふまえている人なので実はすごくまひろの力があることももちろんわかっているんですけど、でもやっぱり左大臣(道長)さまに対しての道長に対しての恩を相当抱えて、それでその職務につくにあたりその希望をかなえなければいけないという、その命に関して成し遂げようという志だと思うんですけどね。未知なる世界に挑む感じでしょうね。おそらく作品の中では短いカットですが、みんなで道中ずっと旅をして着くまでの間、心の中はいっぱいだったんじゃないかなと思いますけどね」
第22回では敦賀の松原客館に立ち寄ったまひろ、為時が、宋人の朱仁聡(浩歌)、通事の三国若麻呂(安井順平)らに迎えられ、越前国府に向かう前に宴でもてなされる。松原客館で宋人たちが取っ組み合いのけんかをしていた際には為時が宋語で静め、まひろも「父上が宋の言葉をお話になるのを初めて聞きました」と尊敬のまなざしになっていたが、宴のシーンでは為時が漢詩を宋語で披露。宋人たちに「素晴らしい漢詩」と絶賛される場面だったが、「そんなにしゃべるって聞いていなかった」と岸谷。さらには、宋語ゼリフをマスターしたものの演出から意外なオーダーが飛び出し辟易したとも。
「そんなにしゃべるって聞いていなかったので(笑)。為時さんは少ししかわからない人なので『しゃべることはないです』と聞いていたら漢詩を宋語に変えてみんなの前で発表するっていうシーンがあって、しかも長いんですよ。久しぶりに暗記することに苦労しました。難しいし、もちろん中国語の先生に習って…それがすごくうれしかったことは、宋語の詩を10行くらいの詩をずっと宋語で読んだときに宋の発音とかを勉強してやったら先生が『これ95点ですよ』って、中国人の先生に言われて『やった~!』と思ったら監督から『もっと下手にやってください』って言われて(笑)。せっかく一生懸命先生について勉強したのに独特のことばのやり方があるんですよね。ちょっと日本語ではない、そのへんを随所に先生に指導してもらって、うますぎるからもっと下手にやってくれって『下手にやれ』って(言われて)こんなにがっかりしたことはありませんでしたね」
為時の友人・宣孝(佐々木蔵之介)は「行ってしまえば国守は楽な仕事よ。土地の者と仲良くやれば懐も膨らむ一方だ」と能天気なアドバイスをしていたが、為時は着任早々、宋人や役人などさまざまな人々の思惑に振り回されることとなり、激務のあまり胃がキリキリ。さらにはラストでは衝撃的な事件が発生し、前途多難な気配だ。(編集部・石井百合子)