テレビから消えた村本大輔が一時帰国 米でも「嫌われています」
お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーの村本大輔が6日、ユーロスペースで行われた映画『アイアム・ア・コメディアン』(全国順次公開中)初日舞台あいさつに、日向史有監督と共に登壇。村本は現在ニューヨークでスタンドアップコメディアンとして活動中だが、一時帰国してアメリカでの日常などを語った。
本作は村本が政治的な発言などから激しい議論を巻き起こし、テレビ業界での居場所を失った後の3年間を追ったドキュメンタリー。映画は2019年から撮影を開始し、2022年には完成。その年の第35回東京国際映画祭でお披露目されたが、劇場公開まで時間を要した。村本は「なかなか受け入れてもらえるところがなく、俺が撮った作品ではなかったのに、傷ついたこともあった」と胸の内を明かし、「こうして劇場に集まってくださる方がいて嬉しいです」と照れくさそうな笑顔を見せる。
村本は今年2月からニューヨークに渡り、スタンドアップコメディアンとして日々活動している。ニューヨーク暮らしについて「円安、これに尽きます」と第一声を発すると「日本での貯金で1年間ぐらい過ごせると思ったのですが、4か月ぐらいでなくなった。とにかく(物価が)高い。だから出稼ぎで帰ってきました」と客席を笑わせる。
芸人としては「毎晩コメディクラブを渡り歩いています」と報告。「まだ英語をはじめて2年ぐらいなので、すごく嫌なことを言われることもあります。でも片言の英語でも、そういう奴より笑いを取ったときは『生まれたときから英語を喋っているのに、2年目の俺よりも笑いが取れないってどんな感じ?』って言ってやります」と反撃することもあるといい、「だからアメリカでも嫌われています」とオチをつけ会場を爆笑に包んでいた。
ネタ作りについては「マンハッタンの街をずっと独り言をブツブツ言いながら歩いています」と話し、「ネタを考えて、英語にするのですが、それを覚えるのに10何時間もかかる。それで夜お金を払って舞台に立ってすべったら全部が台無し」とシビアな一面も明かした。
渡米してから約4か月。村本は「ホームシックはめっちゃかかります。時差があるので、なかなか日本の人には連絡が取れない」というと「でもウケたときは、人種もなにも関係なくみんなが集まってきてくれる。そのときだけホームシックから解消される。やっぱりウケるしかない」と語った。
村本の3年間が凝縮された本作。日向監督は「とにかく笑いのことしか考えていない村本さんにすごく惹かれた。日本では炎上芸人とか嫌われ芸人とか、反日左翼芸人とかいろいろ揶揄されていますが、とにかくお笑いに真摯で、自分の未来にワクワクしている姿が素敵だった」と対象者としての魅力を述べた。
村本は「僕がテレビに出ることを鬱陶しいと思っている方がいっぱいいました。でもそんな人たちに言いたいです。テレビから消えてスクリーンに出ました」と胸を張っていた。(磯部正和)