マーベル・スタジオは失敗・破滅・破産からはじまった…MCUの知られざる歴史をまとめたノンフィクション本発売
マーベル・スタジオの誕生から現在までを記録したノンフィクション「MCU 比類なき映画スタジオの驚異的〔マーベル〕な逆転物語」(フィルムアート社、3,000円+税)が、新作映画『デッドプール&ウルヴァリン』の公開にあわせて、7月26日に刊行される。
『アベンジャーズ』シリーズなどを製作するマーベル・スタジオは、圧倒的な創造性と常識にとらわれない発想を武器に世界中を魅了するMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)を創り出した、史上最大のエンターテインメント企業だ。しかし、そのはじまりは失敗と破滅と破産からだった。
自社キャラクターの権利を抵当に入れて融資を受け、絶対に失敗することができない状況の中で製作された『アイアンマン』(2008)は、それまでのキャリアで「ほぼ完璧な商業的失敗記録」を更新し、薬物乱用者としてハリウッドの問題人物として知られていたロバート・ダウニー・Jrを主演に起用した。しかも、当時アイアンマンはマーベルのキャラクターの中でも一般的な認知度が低く、いわば“二軍”扱い。マーベル・スタジオの未来は、この1本にかかっていた。
本書は、1970年代のマーベル初期映像作品、故スタン・リーが立ち上げた「マーベル・プロダクション」の失敗や、トイ・ビズによるマーベル・コミックの買収など、マーベル・スタジオ設立前史から『アイアンマン』以降のMCUの成功、ディズニープラスでの新展開までを記述している。マーベル・スタジオ年代記の決定版であり、監督・俳優の降板や多様性や新展開への無理解、創造性と経営の対立、パンデミックによる製作・公開の停止などあらゆる困難を乗り越え、IPビジネスとストリーミングで世界有数のエンターテイメント企業となった新興スタジオの戦いの物語でもある。
関係者たちへの取材では、マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギを筆頭に、ボブ・アイガー、ジェームズ・ガンなどMCUを取り巻く主要人物が登場。プロデューサー、脚本家、アーティスト、キャスティング担当者など、MCUを支えるスタッフのインタビューを収録するとともに、ニコール・パールマンやヴィクトリア・アロンソなど、MCUに多大な貢献をしながら、これまであまり知られることのなかった人物についても焦点を当てている。(編集部・倉本拓弥)