『デッドプール&ウルヴァリン』悪役カサンドラ・ノヴァ誕生の裏側 役づくりに影響を与えた3人の名キャラクター
マーベル・スタジオ最新作『デッドプール&ウルヴァリン』(全国公開中)で悪役カサンドラ・ノヴァを演じたエマ・コリンがリモートインタビューに応じ、役づくりにおいて影響を与えた名作映画のキャラクターたちを明かした。
原作コミックにおけるカサンドラ・ノヴァは、ミュータント絶滅を目論む最凶最悪のヴィラン。X-MENの創設者であるチャールズ・エグゼビア/プロフェッサーXの双子という設定も存在する。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)におけるカサンドラの能力は、未だ謎に包まれたままだ。
役づくりにあたり、エマがまず参考にしたのが、歴代実写『X-MEN』シリーズに登場したチャールズ・エグゼビアだ。『X-メン』(2000)から『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』までパトリック・スチュワートが、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011)から登場した若きチャールズはジェームズ・マカヴォイが演じている。
「テレパシー能力を使うチャールズの動きをどのように再現していたのか、すごく興味があったので、二人のパフォーマンスをさかのぼって研究しました。二人の歴史を辿ること、またチャールズに似たキャラクターを同じ作品群で演じられたことは、とても光栄なことでした」
2人目は、クエンティン・タランティーノ監督の映画『イングロリアス・バスターズ』(2009)でクリストフ・ヴァルツが演じた、知的で冷酷なハンス・ランダ大佐だ。カサンドラが劇中で着用しているコートは、ランダ大佐の影響が大きく現れている。
「ランダ大佐は、ライアン・レイノルズ(デッドプール役)が役づくりの参考に共有してくれたキャラクターです。彼のカリスマ性、常にリラックスしている佇まい、お気楽なところ、彼の存在自体が不気味だからです。物事を予期せぬ方向へと転覆させる『デッドプール』映画風なヴィランとして、とても参考になりました」
そして3人目は、映画『夢のチョコレート工場』(1971)で故ジーン・ワイルダーが演じたウィリー・ウォンカ。階段を降りる時などに見られるクセのあるウォンカの動きは、カサンドラの動作に影響を与えた。
「ウォンカは、ポリー・ベネット(注:『ボヘミアン・ラプソディ』『エルヴィス』などに参加したムーブメントコーチ)がカサンドラの動きを考える時に出してくれたアイデアです。『夢のチョコレート工場』を観て、ジーン・ワイルダーのウィリー・ウォンカの神出鬼没な部分を観察しました。彼は、自ら物事をを思いのままにする。カオスによってもたらされる出来事を、まるで喜ぶように見ている傾向があります。ウォンカの肉体的な存在は、カサンドラに大きく影響を与えました」
ちなみに、エマは当初カサンドラを演じるにあたり、ハードなアクショントレーニングが必要になるかと心構えをしていたそうだが、マーベル・スタジオから「その必要はない」とあっさり伝えられたという。「秘密主義のマーベルは、最低限の情報しか教えてくれません。契約書にサインするまで、脚本は見せてもらえませんでした。なので、悪役に決まった時は『ようやくテコンドーなどを習う時が来た!』と思っていたのですが、役名と能力を見た時に全く身体を動かさないことに気がつきました(笑)。なので、名作映画を広く見返して、カサンドラのヒントを見つけていくアプローチを取りました」と振り返っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)