「虎に翼」伊藤沙莉、撮影が終わっても涙が止まらなかった…制作統括が明かす屈指の名シーンとは?
伊藤沙莉が主演を務める連続テレビ小説「虎に翼」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜日は1週間の振り返り)が、9月2日より第23週(2日~6日放送)に突入する。ドラマ終盤に向け、クランクイン以後変わらぬ座長ぶりを見せ、撮影現場を引っ張る主人公・寅子役の伊藤について、制作統括を務める尾崎裕和が語った。
朝ドラ・110作目の「虎に翼」は、女性法律家の先駆者である三淵嘉子さんをモデルとしたオリジナルストーリー。日本初の女性弁護士の一人で後に裁判官となった主人公が、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子どもや追いつめられた女性たちを救っていく姿を描く。第23週では寅子が関わる「原爆裁判」がいよいよ判決の時を迎える。
尾崎は中年期の寅子を描くにあたって、「達観せず、丸くならず、寅子は寅子であるというところを持ったまま年齢を重ねていくというふうにしたかった」と制作サイドの思いを明かす。「寅子は裁判官という立場になりましたが、歳を重ねても決して完璧ではない。裁判官としての揺れは寅子の中の揺れでもあるとし、寅子が一生懸命迷って考えているところを描きたいと思った」と寅子に込めた思いを語る。
そんな寅子を演じる伊藤の演技については「とても自然です」と振り返り、「新潟編で寅子は管理職の立場になり、部下を持ちます。そこでの立ち振る舞いは僕も見習いたいと思うほど、いい上司ぶりでした。いい感じで歳を重ねているなという印象を持ちましたね」と感想を述べる。
座長として撮影現場を引っ張る伊藤の姿についても「撮影開始から今まで、変わらないのがすごいなと思います」と絶賛し、「朝ドラで主人公を演じる方は本当に大変なんです。大変でした、苦労しましたという話が出てくるものなんですけど、沙莉さんは撮影が始まった頃から今まで、いつも現場で明るく笑っていて、ポジティブな気持ちで現場にいようとしている思いが伝わります」と伊藤の様子を紹介。「明るい声が現場でいつ行っても聞こえてくるんです。クランクインから8月まで、そんな姿勢を変えずにずっと続け、座長として変わらない姿でそこにあり続けられるすごさを感じています」と伊藤を讃える。
尾崎はここまでの撮影を振り返る中、伊藤の撮影で印象的だったエピソードを聞かれると、猪爪はる(石田ゆり子)が亡くなるシーンを挙げ、「はるさんが亡くなるシーンで、寅子がそばにいる場面は、沙莉さんの真に迫った演技で、涙を流すお芝居がとても印象に残っています。あの時は撮影が終わった後も沙莉さんがずっと泣いていて、本当にお母さんが亡くなったという気持ちでお芝居をしていたんだなと感じました。さすがの演技でした」と語った。(取材・文:名鹿祥史)