『インサイド・ヘッド』第3弾の可能性は?監督、ピクサーCCOが語る
来日した『インサイド・ヘッド2』のケルシー・マン監督と、ピクサー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)で前作『インサイド・ヘッド』(2015)の監督であるピート・ドクターが、『インサイド・ヘッド』シリーズ第3弾の可能性について語った。
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ライリーの頭の中を舞台に、擬人化された彼女の感情たちの混乱やぶつかり合いを描いてきた『インサイド・ヘッド』シリーズ。第1弾では突然の引っ越しで不安定になった11歳のライリー、第2弾では思春期で自意識が高まり、今までなかった大人の感情に翻弄される13歳のライリーの姿を追った。まだ若いライリーにはこれからの人生でもさまざまな転機が待ち受けているはずで、前2作が素晴らしい出来なだけに今後を描く第3弾も期待したくなる。
プロデューサーのマーク・ニールセンと共にインタビューに応じたマン監督にさらなる続編の予定について聞くと、「ああ、どうしよう!(笑)」と笑顔。「マークと僕が間違いなく次にすることは、いい休暇を取ること。日本でプロモーションツアーを終えられるのは最高なんだよ! 僕たちは二人とも、日本での滞在期間を延長したんだ。だってお気に入りの国だからね。家族全員連れてきたし」とまずは日本で4年にわたる制作の疲れを癒やしたいという。
それでも第3弾には前向きだ。まだ具体的な計画はないとしながらも、「僕は『インサイド・ヘッド』の世界が好き。そこで遊ぶのは本当に楽しい。第2弾のために考えたけれど、最終的に映画に入らなかったアイデアもたくさんある。そうしたアイデアが花開く場所があればいいなと願っている。すごく楽しいと思うよ」とやる気を見せていた。
ピクサーCCOのドクターも、「現時点では何も計画はない。他のたくさんのことと同様に可能性は探っているけどね。本作におけるシンパイ(不安)のような、人々に強く語り掛ける要素は他にあるのだろうか? と。前2作でまだやっていないことが出来たらと思う」とコメント。
ドクターは現在制作中の『トイ・ストーリー』シリーズ第5弾を引き合いに出し、「『トイ・ストーリー5』もそうなのだが、続編をやる上での大きな挑戦というのは、新たなストーリーを考えても『もうこれは2でやった』『4でやった』となってしまうことなんだ。人々が映画館に行きたくなる要素を見つけつつ、『こう来るとは思わなかった!』というようなサプライズも与えたい。僕個人的には、『トイ・ストーリー4』のフォーキーが好きなんだ。プラスチックの先割れスプーンがおもちゃになり、突然命が宿る。それは『トイ・ストーリー』第1弾~第3弾をやっていた時には考えもつかなかったこと。僕たちはそういうものを今後も探すことになると思う。その世界を拡大し、人々を驚かせられるように」と続編に取り組む上での心構えを語っていた。
そもそも『インサイド・ヘッド2』の企画がスタートしたのは、『インサイド・ヘッド』(2015)を観た人々が「自分自身や子育ての仕方について、今までと違った風に考えるようになった」などと同作が彼らに与えた影響の大きさを何年たってもドクターに伝え続けたからだ。ドクターは「『インサイド・ヘッド』がこれほど人々の心に残っているのだったら、ここには語るべき他のストーリーもあるのかもしれない」と考え、『モンスターズ・ユニバーシティ』『2分の1の魔法』などのストーリースーパーバイザーとしての仕事ぶりを評価していたマン監督に白羽の矢を立て、続編のアイデアを出すように求めた。
続編で新たな感情シンパイをメインに描くというのは、マン監督のアイデアだ。マン監督は「それは初期に決まった。ほかにも新たに現れる感情のリストを作ったけどね。僕は何でもリストにするタイプなんだ。僕の中に多分シンパイがいるんだろうな(笑)。準備しなくちゃって思ってしまう。シンパイを選んだのは、僕がライリーの年齢の頃に共感できる感情だったし、大人になった今も共感できるから。かなり初期にこの案を提案したよ」と振り返る。
さらに「“感情の乗っ取り”をやりたかったんだ」とマン監督。「それは1作目とかなり違うものだとも思ったから。ヨロコビとカナシミが偶然本部の外に放り出されるのと違って、何者かによって意図的に追い出されたら面白いんじゃないかと。だからこの続編を“感情の乗っ取り映画”として提案したよ。有名な舞台女優が最後には若い野心的な女優に取って代わられるさまを描いた映画『イヴの総て』(1950)にすごく影響を受けていて、その感情バージョンというところから始まったんだ」と本作も前作とは違う“新たな要素”という部分から動き出していったと明かしていた。(編集部・市川遥)
映画『インサイド・ヘッド2』は公開中