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綾野剛&星野源『ラストマイル』で4機捜再び!「MIU404」の魅力

謎の連続爆破事件にどう絡む? 『ラストマイル』の志摩一未(星野源)と伊吹藍(綾野剛)
謎の連続爆破事件にどう絡む? 『ラストマイル』の志摩一未(星野源)と伊吹藍(綾野剛) - (C)2024 『ラストマイル』製作委員会

 8月23日より全国公開される映画『ラストマイル』は、ドラマ「アンナチュラル」と「MIU404」の世界線が交差するシェアード・ユニバース作品として話題になっている。ショッピングサイトから発送される荷物を狙った連続爆発事件を描く『ラストマイル』。その捜査の一翼を担うのが、「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」(4機捜)の面々だ。ここでは映画公開を前に「MIU404」の作品の魅力をおさらいする。

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絶妙なさじ加減のバディもの

“野生のバカ”ぶりは健在? 『ラストマイル』の伊吹藍(綾野剛)

 ドラマ「MIU404」は、警視庁の働き方改革によって、これまで3つあった機動捜査隊のなかに新たに生まれた「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」が舞台。初動捜査専門で、リミットは24時間。そこでできる限りの対処をするという瞬発力が求められる。

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 そんな機捜でタッグを組むのが綾野剛演じる伊吹藍と星野源ふんする志摩一未だ。伊吹は運動神経抜群で野生の勘を働かせながら突っ走る猪突猛進タイプ。一方の志摩は、以前捜査一課にいたこともある敏腕刑事だったが、ある出来事によって所轄にいたところを、機捜に呼ばれた。伊吹とは正反対の常に先回り思考で行動できるタイプだ。

 刑事のバディものはこれまで数知れず。お互い真逆の相棒同士が、欠点を補い合うのもセオリー通りの組み合わせだが、本作は、全話を通した伊吹と志摩との関係性の変化が、非常に秀逸だ。ちょっとした態度や反応、言葉遣いによって、少しずつ二人の距離が縮まっていく感じがとても自然で、ドラマのなかで描かれていない二人の時間まで想像できるような脚本も余白があり素晴らしい。説明的ではないからこそ、この二人により感情移入できるのだ。

彼らの初動捜査は事件にどう結びつくのか 『ラストマイル』の志摩一未(星野源)

 これまで様々なキャラクターを演じてきた綾野だが、伊吹というキャラクターの収め具合が絶妙。ややもすると伊吹は、エンターテインメントという側面からすると、かなり極端で突っ走ってしまいがちなところを、綾野はしっかりと良識があり、人の話も聞く……という現実味あるラインを攻めている。観ている方は「面倒くさそうだけれど、そばにいたら楽しそう」と好感を持てる。

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 伊吹と志摩の関係性は、バディでありつつどこか志摩が伊吹の指導者という側面もある。同じ構図で機捜に配属された水上恒司(当時は岡田健史名義)演じる九重世人と、橋本じゅんふんするベテラン機捜隊員・陣馬耕平との関係性も、観る側にとっては胸アツなエピソードも多く、物語の終盤にかけて、伊吹と九重の成長というのも、作品を惹きつける要素となっている。

物語を最高なものにした菅田将暉

 もう一つ、本作の特徴として挙げられるのが、事件を起こす側の描写だ。全体的に罪を犯してしまう理由には、世の中の理不尽さと不条理さが背景にある。だからといって犯罪に手を染めていいことにはならないが、エンターテインメントとして事件を描く際、容疑者や犯人と思われる人間にどれだけ感情移入できるかは、作品の大きな肝になる。

 その意味で本作は、警察から追われる立場の人間の背景を丁寧に描いているため、グッと作品に入り込める。特にファンの間でも傑作と言われている第4話「ミリオンダラー・ガール」で美村理江が演じた青池透子(正確には犯人という立ち位置ではないが)の生き様が、徐々に明らかになっていくにつれ、伊吹が魅了されていくように、視聴者も彼女に肩入れしてしまう。

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 事件を解決していく刑事ものでありつつ、強いメッセージ性と深い人物描写によってヒューマンドラマという側面も強いことが、これまでの刑事バディものとは一線を画している本作。

 そんな作品をいい意味で“奇妙”なものにしているのが、菅田将暉が演じている久住だ。第3話「分岐点」で、謎の男として登場すると、伊吹や志摩を翻弄しまくり罪を重ねるが、これまで登場してきた警察に追われる人間たちのように、罪を犯してしまった背景が全く見えてこない。自らを「人間ではない」と言い切るように、まさにサイコパスと呼べるようなキャラクター。

 “血が通っている人間”たちが織り成すヒューマンドラマで、不協和音のごとく立ち振る舞う“人間ではない”久住。そんな久住と“血が通いまくっている”伊吹との対峙は、本作の一つの大きなクライマックスとも言える。

 重厚な人間ドラマにサスペンスが散りばめられ、しかも奇妙さも相まって、これまでにない刑事ドラマとなった「MIU404」。映画『ラストマイル』には、伊吹、志摩、陣馬はもちろん、警視庁刑事部機動捜査隊・隊長の桔梗ゆづる(麻生久美子)らの出演が発表されている。どんな形で彼らが物語に絡むのか……この目で確認したい。(文・磯部正和)

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