「光る君へ」竜星涼、隆家がとった思いがけない行動の真意を解釈 「願掛けのような気持ち」
吉高由里子主演の大河ドラマ「光る君へ」（NHK総合・日曜午後8時～ほか）で権中納言・藤原隆家を演じる竜星涼が、15日放送・第35回の撮影をXなどで公開されたインタビュー動画「君かたり」内で振り返った。同エピソードでは左大臣・藤原道長（柄本佑）が中宮・彰子（見上愛）の懐妊祈願のため、息子・頼通（渡邊圭祐）と共に御嶽詣へ向かう展開となり、その道中で隆家が思いがけない行動を起こす。
第35回「中宮の涙」では、道長がいまだ帝（一条天皇/塩野瑛久）と距離が縮まらない娘・彰子のために命がけの御嶽詣へ。険しい道のり、悪天候に悩まされ、目的地である金峯山寺への到達に手こずっていると、伊周（三浦翔平）が武者を引き連れ、道長一行に矢を向ける。しかし、そこへ隆家が現れ、伊周の企てを阻む。
かつて花山院（本郷奏多）の牛車に矢を射かけるという不祥事で流罪となった隆家と伊周。今では一条天皇の道長をけん制する思惑もあり、伊周は優遇され儀同三司として働いている。にもかかわらず伊周は道長を呪詛し続け、不穏な動きを見せる。そんな兄・伊周に対しての隆家の心情を、竜星は「弟からしたらちょっとがっかりするじゃないですけど、そこまでいってしまったかと。もちろん自分の立場も脅かされる兄弟だしっていうことも含めて、今までもそうですけれど『もうやめてくれよ』っていう。『もうおとなしくしていてくれよ』『もうそれを受け入れて生きてくれよ』っていう気持ちはありながらも、でもやっぱり隆家は自分がとか道長を守るとかっていうよりは兄貴を守ったような気がするんですよね、あのシーンというか。それをやってより罪を重く生きる兄貴をやっぱり兄弟として見たくないっていう。そういうのがあってもいいんじゃないかなって」と分析する。
隆家に計画を台無しにされた伊周は当然「おまえは仇か……」と怒りをあらわにするが、隆家は「兄上を大切に思うゆえ阻んだまで」と言い、「左大臣を亡き者にしたところで何も変わらぬ。おとなしくさだめを受け入れて穏やかに生きるのが兄上のためだ」と諭す。そして、かつて花山院の御車を射たことで伊周の行く末を阻んだことを謝罪する。竜星は、そんな伊周と隆家のやりとりを「願掛けのような気持ち」で演じたという。
「（伊周を）守ったあとのシーンとかで二人で会話するシーンがあったりするんですけど、そこなんかはとっても僕自身兄貴を責めるでもなく自分がしてしまった過ちでこうなってしまった可能性が少なからずあるっていうのをわかりつつ、自分が初めてそこで謝る。謝って変わることじゃないけど、謝ることで少しでも兄貴が変わってくれるんだったらっていう最後の望みですよね。最後の望みを持ったけれど、やっぱり反応はいまいちで、それすらも弟としての思いすらも血のつながった家族ですらも、もう止められなくなってしまったかというさみしさみたいなものがあったりとか。逆にそれを止められなかった自分に対する怒りみたいなものはあったんじゃないかなと。あのシーンではそういう感情が湧き上がってきたりしましたね。兄弟の中でもやんちゃ坊主な彼が昔に起こしてしまった過ちのせいで変な話、没落していくわけですから『すべてはお前のせいだよ』と言われてもしかたがないんですけれど、ただ、やっぱりでも弟だよねっていう。だから結局なんだかんだ憧れていた兄貴からそうじゃなくなった兄貴になったとしても、結局やっぱり弟でいたいなっていうのを僕の中ではあそこのシーンで見せられたらなっていう、願掛けのような気持ちでしたね」
最後には「帰ろう」と穏やかな表情を見せる伊周だったが、不気味な笑いと共に「道長なぞ狙ったつもりはない。うつけものめ……」とつぶやく。そんな兄の姿を不安げな表情で見る隆家。果たして伊周の凶行を止められるのか。（編集部・石井百合子）