堀江美都子、実写版「ボルテスV」吹替版キャストに決定!主題歌「ボルテスVの歌」も生歌唱「こんな日がくるなんて」
東映の人気ロボットアニメをフィリピンで実写化した映画『ボルテスV レガシー』のジャパンプレミアが29日に丸の内TOEIで行われ、原作アニメ主題歌「ボルテスVの歌」を担当した歌手&声優の堀江美都子が出席。イベントで「ボルテスVの歌」を生披露し、日本語吹替版で主人公の母親役を務めていることが発表された。イベントには、本作のエグゼクティブ・プロデューサーを務める東映の白倉伸一郎、駐日フィリピン大使のミレーン・J・ガルシア=アルバノ氏も来場した。
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原作は、1977年から1978年にかけて放送された東映のロボットアニメ「超電磁マシーン ボルテスV」。地球に突如飛来したボアザン星人の侵略軍を相手に、5人の若者たちが合体ロボットに乗り込んで戦うさまを描いた。特にフィリピンでは高い人気を獲得しており、原作の熱狂的なファンであるマーク・A・レイエス・V監督が実写化を実現させた。
イベント冒頭で「ボルテスVの歌」のメロディーが流れ、堀江が「皆さん、一緒に歌ってください!」というかけ声で歌い始めると、会場は大歓声に包まれる。その透き通るような歌声は健在で、リズムに合わせた観客の拍手とともに、力強く楽曲を歌い切ると、映画館はライブ会場さながらの大熱狂に。映画の舞台あいさつとは思えないほどの盛り上がりに、堀江は「こうやって皆さんの一体感とともに歌うことができるのは本当に幸せ」と感激した様子で、「この曲はずっと歌い続けてはきましたけど、こんな日がくるなんて……本当に歌い続けて良かったな」としみじみ付け加えた。
イベントでは、堀江がボルテスVの設計者の一人で、主人公アームストロング3兄弟の母親であるマリアンヌ・アームストロングの吹き替えを担当することが明らかに。堀江は「最初、母親役だと聞いてすごく気軽に『分かりました』と言ってしまったんですが、台本を読んでビビりました。母であり、科学者であり、戦闘機のパイロットでもある役で、めちゃくちゃ緊張しましたね」とオファー当時を振り返る。
国内のみならず海外でも展開されていた本作だが、中でも特に熱狂的だったのがフィリピン。その後も再放送が繰り返され、本作の主題歌を「第2の国歌」と呼ぶ人もいるほど。フィリピンでの熱狂ぶりについて「これは本当にすごいんです」と語る堀江。「国賓待遇だったそうですね」という司会者の呼び水には、「それはちょっと盛り過ぎかもしれませんが」と笑いつつも、「ただ空港はフリーパス。エミグレーション(入局審査)なしでした。ただしスタッフの審査を待たなきゃいけないので、どっちがいいのか分かりませんが。そして、車に乗ると白バイが先導して街の中を走るんですが、逆走の場合もありました」と明かす。
さらにフィリピンのコンサートでも「わたしは1時間のメニューをつくったんですけど、ボルテスを一曲歌ったら、その瞬間から『ボルテス! ボルテス!』となるので、その先の歌は歌えない。ずっと『ボルテスV』を本当に何回も歌っていました。とにかく歌えと。それから記者会見でも10回くらい歌いました。記者の方がムチャぶりするんですよ。皆さん、日本語で3番まで、しっかり歌えるんですよね」と笑いながら明かした。
女性がロボットアニメの主題歌を担当したのは、本作が初めて。「搭乗員が5人になって、その中に女性と子供がいるということで、女性をメインボーカルにして、子どもの合唱団を入れて、全員で歌おうという感じでした。だからロボットアニメソングというよりは賛歌という感じに仕上がったと思います」と明かした堀江は、「その当時、ロボットアニメが歌いたくてしょうがなかった。お年頃でしたし、カッコいい曲を歌いたいなと思っていたので、うれしかったです」と笑顔を見せた。
また『ボルテスV レガシー』の応援プロジェクトとして、オリジナル版のエンディング曲「父をもとめて」のカバーにも挑戦した。歌っていたのは、2022年12月6日に逝去した歌手の水木一郎さん。堀江とは長きにわたって親交も深かった存在で、「水木さんとは、よくコンサートで、お互いの曲を取り換えることがあったので、その延長のような気がしますね。レコーディング当日はアニキが来て『がんばれよ』と。あたたかく包み込んでくれたような気がして。とてもいい歌が歌えましたし、多分、歌い終わったあとに『やるよ、この曲』と言ってるかなと思いました」と述懐。
そんな水木さんを「長きにわたってずっと一緒に歌ってきた同志」と語る堀江は、「まだアニメソングというジャンルがなかった時代だったので、言葉はあれですが、冷遇されていたというか、認知されていない時代もありましたから、その中でふたりでいつもがんばろうと言って。お互いに気持ちを確かめ合いながら。子供たちに誠実に、絶対に折れることなく。誇りを持って歌っていこうという話をいつもしていたので。兄であり、同志ですね」と亡き水木さんへの思いを明かした。
その後も「ボルテスV」がスーパー戦隊へ与えた影響や、今回のフィリピン版スタッフがいかに愛情とこだわりを持って本作をつくりあげたか、そしてフィリピンの人が本作を愛した理由として「家族愛」があったのでは、といった話など、「ボルテスV」愛に満ちたトークを次々と展開。あらためて堀江も「こうなったら一生歌い続ける歌なんだろうなと。わたしも覚悟を決めました」とキッパリと語った。(取材・文:壬生智裕)
映画『ボルテスV レガシー』は10月18日より全国公開