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「光る君へ」惟規役・高杉真宙が最も思い出深いシーン 「姉上と賢子がシンクロした」

第39回「とだえぬ絆」より高杉真宙演じる藤原惟規
第39回「とだえぬ絆」より高杉真宙演じる藤原惟規 - (C)NHK

 吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で、まひろの弟・藤原惟規を演じる高杉真宙が約1年半に及んだ撮影を振り返った。高杉にとって大河ドラマへの出演は2012年の「平清盛」以来、12年ぶり・2度目となり「視聴者の皆さんも同じだと思うんですけど、惟規がこんな風になっていくのかな、あんな風になっていくのかなっていうのを、演じている僕も成長を見るのが楽しみだったりするので、そういう意味でも幸せだなと思いました」と充実の表情を見せた(※ネタバレあり。第39回の詳細に触れています)。

【画像】まひろと賢子がシンクロする名シーン

 平安時代に1000年の時を超えるベストセラーとなった「源氏物語」を生み出した紫式部(まひろ)の生涯を、「セカンドバージン」(2010)や「大恋愛~僕を忘れる君と」(2018)など恋愛ドラマの名手としても知られる大石静がオリジナル脚本で描く本作。高杉演じる惟規は、幼少期から学問と親しんでいた気難しい姉と対照的に、勉学が苦手でマイペース、ひょうひょうとした性格。左大臣・道長(柄本佑)の後押しもあり、惟規いわく「そんなにまじめに働いていたわけでもないのに」最終的には従五位下までに出世した。

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 惟規は登場人物の中でもとりわけ現代っ子風に描かれ、「●●だなー」と音引きのついたセリフが多くトボけた味わいを出していたが、高杉にとって役へのアプローチにおいて助けになったという。「確かに、僕の台本にはかなり音引きが多くて、ほぼ現代語ですよね(笑)。他の方々が硬い言葉だったり、その時代に寄せた言葉を使っているからこそ、惟規のキャラクターが強調されているような印象で、やりやすかった部分はかなりあるのかなとは思います。最初の頃は“もう少し明るく、軽く”と演出陣から言われていたので意識していましたけど、徐々に言われなくなったので、ある程度の下地ができた状態でやれていたんだろうなと。現代語だからこそできたところもあるのかなとも思います」

 「歳を重ねていくにつれて、果たして惟規はこの感じでずっといいのかって思いながら演じていた」と感じることもあったというが、「明るく軽く」を貫いたと高杉。「ほぼほぼそこ一辺倒でやってきました。そこにちゃんと気を使えるとか、家族思いといったところがプラスされて、あとはもう台本に沿って。1年もやっているので、その軸さえあれば、ストーリーの流れをきちんと把握していたら、取り立てて何かを重要視する必要はなかったように思います」

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第39回より越後に向かう道中で病に倒れる惟規

 その明るさで父・為時(岸谷五朗)や姉・まひろ、従者の乙丸(矢部太郎)、乳母いと(信川清順)らを照らしてきた惟規だが、13日放送・第39回「とだえぬ絆」では病を患いあっけなく逝ってしまった。越後守に任ぜられた父を送るために越後に向かう道中で惟規は意識朦朧となりながら、辞世の歌として「都にも恋しき人の多かればなほこのたびはいかむとぞ思ふ」(都にも恋しい人がたくさんいるゆえ何としても生きて帰りたい)と詠んだ。

 この展開については、「惟規は史実が多くは残っていないのですが、父上と越後に向かう道中で亡くなるというのは聞いていました。都を離れてみて、帰ると安心する家族だったなと改めて思いました。それに“あと残り10回ぐらいなのになぁ”って……」と寂しさを漏らす高杉。一方で、本シーンのために書道を練習することになり「息絶え絶えの中で書くので上手である必要はないという前提はあるものの、まさか最後の最後で書道をやらせていただくとは思っていなくてビビりました……。しかも実際に僕の字が使われるなんて! 最初は何を書いているのかわからなかったほどでした」と知られざる苦労も。

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 最期まで家族のことを想っていた惟規は、亡くなる前にまひろ、そして姪の賢子(南沙良)のために多くの気遣いを見せ、道長には大胆にも「恐れながら姉は気難しくて人に気持ちが通じにくいのでございますが、どうぞ末永くよろしくお願いします」と姉の身を託した。また賢子の裳着の儀では娘との不仲に悩むまひろに、かつてまひろが裳着の儀を迎えた際に父・為時との関係が最悪だったことを述懐しながら「親子って変わらないようでいて、変わるんだな」「きっと……みんなうまくいくよ」と励ました。

 そんな惟規に対して、高杉は「描かれていない部分でいろんなことを思っていた子なんだなって、改めて思いました」としみじみ。賢子の裳着の儀は、高杉にとって最も思い出深いシーンになったという。

 「(親子仲が悪かった)姉上と賢子がシンクロするという意味でも印象に残っています。しかも僕にとって、姉上の裳着のシーンが撮影初日だったんです。その時は宣孝さん(佐々木蔵之介)が腰結(袴や裳の腰のひもを結ぶこと)を担当されていたんですけど、賢子の時は僕がやらせていただいたんです。そういった意味でも感慨深いですね。惟規が賢子に“これでお前も一人前だ。婿もとれるし子も産める”って言うんですけど、多分父上は本当は姉上にこう言いたかっただろうなと。あの時の姉上の姿がフラッシュバックして、家族の歴史みたいなものを感じられたというか。1年やっているので、本当に賢子のおじさんになったような感覚がありましたし、時間を積み上げてきた感覚がリアルにあったんだと思うんです」

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 高杉にとって約1年半の撮影を共にしてきた姉・まひろ役の吉高は「今までお会いしてきた先輩方の中で1番だなと思うぐらいフランクな方。人を引きつける素敵な魅力がある」、父・為時役の岸谷は「超かっこいいお父さんでした。なのに、撮影の合間は面白おかしく話してくださるのもうれしかった」、そして登場人物の中でもとりわけ深い絆で結ばれていた乳母いと役の信川については「一緒にふざけられる母のような存在。ソウルメイトに近しい」とも。

賢子(南沙良)の胸で泣くまひろ(吉高由里子)

 惟規の訃報を受け辞世の歌を読んだまひろは、賢子の胸で慟哭。これまで母を遠ざけていた賢子が共に惟規の死を悼むことで、寄り添うこととなった。愛すべき惟規のあっけない死へのロスは計り知れないが、残されたまひろ、為時、そして賢子らに残したいメッセージを問うと、「“頼む! ハッピーエンドであれ”と。本当に頼むって感じです」と家族の行く末をおもう高杉。「本当にバッドだけは見たくない。願わくは、姉上と父上のハッピーエンドが見たいですけど、史実もありますし、どうしたって避けられないこともあると思いますが、だからこそ、どんな時も子供に託さなければいけないこととかもあると思うんですよね。今後どうなっていくのかはわからないですけど、賢子が大変な思いをしなければいいなとおじさんの気分で願っています」と“家族”にエールを送った。(編集部・石井百合子)

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