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『室井慎次』にも!『踊る大捜査線』にはネットワーク捜査員がいた

ネットワーク捜査員のお仕事って?
ネットワーク捜査員のお仕事って? - (c)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

 社会現象を巻き起こした大ヒット作『踊る大捜査線』シリーズといえば、日本におけるインターネット宣伝を活用したエンターテインメント作品のはしりだといわれている。「ネットワーク捜査員」と呼ばれるシリーズのファンと、つくり手とのきずなは非常に深く、テレビ放送から27年たった現在においても、「踊るプロジェクト」最新作となる『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』の宣伝戦略において“ファンファースト”の姿勢を貫いている。そこでこちらではその背景を探ってみた。

【画像】最新ビジュアル!『室井慎次 生き続ける者』

 『踊る大捜査線』のオフィシャルサイトは、テレビシリーズのオンエアが終了した9カ月後となる1997年12月16日に正式オープン。当初は翌1998年10月31日公開予定の『踊る大捜査線 THE MOVIE』と、その間で放送されるスペシャルドラマを盛り上げることを目的に制作された。

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 当時はインターネットが普及しはじめたばかりの頃であったが、登場人物の履歴書なども含めた詳細なプロフィール、スタッフが参加するメイキングコンテンツ、劇中の印象的な小道具紹介など、コアなファンに向けた、ここだけでしか読めないコンテンツが目白押しだった。その中でも踊るファンが集まる「ネットワーク特別捜査本部」というタイトルのBBS(掲示版)は、ドラマ関連のフリートークをはじめ、主要キャラから脇役まで各キャラクターのファンクラブなど、話題別に立てられた会議室(スレッド)でスタッフを交えたファン同士で熱い会話を繰り広げられていた。

 会議室の参加者はメールアドレスを使った登録制で、参加者は「ネットワーク捜査員」と呼ばれた。シリーズを心から楽しむ彼らの熱心なコメントはスタッフを刺激し、そしてスタッフも惜しみなく情報を提供。そこからオフ会や撮影現場見学、エキストラ参加なども行われるなど活発なコミュニティが生まれた。また、映画公開時には、オフィシャルサイトを通じた本広克行監督の呼びかけを受けた“捜査員”たちが、各地の上映劇場で拍手とスタンディングオベーションを行ったことが話題を集めるなど、「踊る大捜査線」の大ヒットを語る上で、ファンが集まるオフィシャルサイトの存在は欠かせないものとなり、映画第3弾の時まで運用されていた。

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室井慎次

 そして2024年になり、本広監督、亀山千広プロデューサーの「ファンの皆さまとの交流の場をもう一度つくろう」という思いから、トークアプリの Discord に場を移し、「ネットワーク特別捜査本部」が復活。こちらではスタッフの情報発信が次々と投稿されており、“ネットワーク捜査員”とのコミュニケーションも積極的に行われている。またこちらでは亀山プロデューサーらが参加する「本店合同ネットワーク特別捜査会議」も複数回行われ、映画の最新情報や、制作の状況など、ここだけでしか聞けない裏話を惜しみなく披露し、捜査員たちの結束を固めることに寄与している。

 ちなみに今回の新作となる「踊るプロジェクト」再始動が発表されたのは今年の3月18日のこと。実はこの日は連続ドラマの最終回が放送された日であるとともに、“青島と室井が約束を交わした日”となる。本作の宣伝プロデューサーを務める東宝の江上智彦氏も「この日は『踊る』ファンにとってとても大事な日。ですからこの日をシリーズ再始動の日にしようということで、前年末からずっと準備していました」。

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 またその情報の初出しを新聞やウェブメディアなどのメディアを通じて行うのではなく、まずはオフィシャルサイトで「プロジェクト始動」を打ち出した。この“ファンファースト”の狙いはズバリ当たり、大勢のファンを驚かせるとともに、大きな反響をもたらした。しかしこの時点ではタイトル・公開日などの情報は明かされず、情報として出されたのは、ただ柳葉敏郎ふんする室井慎次の映画が制作される、ということだけだった。

 その上でタイトルと公開日はどのタイミングで行われたのだろうか。「東宝ではゴールデンウィークに合わせて『名探偵コナン』を公開するので、そこに合わせて第1弾チラシをつくることにしました。通常の宣伝なら、メディアを通じて『公開日決定! ビジュアル決定!』といったニュース出しをするんですが、今回は事前に何にも言わずに普通に映画館に置かせていただきました。映画好きのファンの方たちに『なんだこれ?』と手に取ってもらおうと思ったのですが、そこはうまくいったかなと思います」(宣伝プロデューサーの江上氏)。

 本作は撮影時から“ネットワーク捜査員”との連携が図られていたという。「各地に捜査員の方たちがいらっしゃるんですが、いろいろな方たちに、撮影でエキストラに参加してもらうなど協力してもらっていました。ただどうしても秘密にしなくてはいけないことがたくさんあったのですが、皆さんは『踊る』のファンなのでちゃんと秘密にしてくれるんです。愛があるなと思いました」(江上氏)

 そんな本作だが、「後編に関してはマスコミ試写も行う予定は一切ありません」(江上氏)とのことで、秘密のベールに包まれている。それゆえに「ネットワーク特別捜査本部」が貴重な情報源となりそうで、その注目度はますます増しそうだ。(取材・文:壬生智裕)

『室井慎次 敗れざる者』全国公開中
『室井慎次 生き続ける者』11月15日(金)全国公開

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