『十一人の賊軍』ノロが泣けると話題!「最強」「救い」「かっけー!」
山田孝之と仲野太賀がダブル主演を務めた映画『十一人の賊軍』(公開中)で、罪人の一人であるノロを演じる佐久本宝の存在感が注目を浴びている。
本作は、東映黄金期の礎を築いた脚本家・笠原和夫が1964年に執筆した幻のプロットを、『孤狼の血』シリーズなどの白石和彌監督が映画化した時代劇アクション。舞台は、江戸幕府から明治政府へと政権が移り変わる激動の時代。戊辰戦争の最中、新発田(しばた)藩で繰り広げられた奥羽越列藩同盟軍(旧幕府軍)への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた罪人たちが「無罪放免」を交換条件に、命を懸けて砦を守る任に就くさまが描かれる。
主演の山田、仲野をはじめとする豪華キャストが名を連ねるなか、爪痕を残す名演を見せた佐久本。演じたのは山田、尾上右近、鞘師里保、千原せいじ、岡山天音、松浦祐也、一ノ瀬颯、小柳亮太、本山力らが演じる罪人たちの一人であるノロ。花火師の息子で、政(山田)を死んだ兄と思い込み“あんにゃ”と慕って逃がそうとしたことからお縄に。
ノロは鞘師里保演じる女郎のなつと共に「癒やしのキャラ」として人気。耳の聞こえない妻を襲った新発田藩士を殺害した罪で捕らえられ、新発田藩士に憎悪を燃やす駕籠屋の政に寄り添い、政が困惑しいくら突き放してもそばを離れようとしない。この世に絶望し、憎しみしかなかった政を、持ち前の純真さで明るく照らしていくさまが観客の心を捉え、SNSでは「ノロすごすぎたね」「ノロかっけー!」「ノロの存在が救い」「ノロ好きだなぁ」「政とノロにグッとくる」「何だかんだノロが最強」と軒並み高評価だ。
劇中の政とノロの関係は撮影外でも同様だったようで、佐久本は「ノロがあんにゃを慕っていたように、僕も山田さんを慕っていて、日に日に好き度が増していくんですよ。同性でここまで好きだと思える人ってなかなかいないし、多分この気持ちは賊軍全員が抱いていると思います」と語っている(劇場パンフレットより一部抜粋)。
佐久本は現在26歳。2016年公開の吉田修一原作・李相日監督の『怒り』で応募総数1200人のオーディションを勝ち抜き、スクリーンデビュー。同作では思いを寄せる少女(広瀬すず)が目の前で黒人男性に襲われながら、恐怖から助けられず自責の念に葛藤する少年を熱演し、第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。出身地である沖縄を舞台にした作品に多く出演しており、野木亜紀子が脚本を務め、復帰50年を迎えた沖縄を舞台に連続性的暴行事件の真相解明に二人の女性が立ち向かうさまを描いたWOWOWドラマ「フェンス」(2023)では沖縄県警中部署渉外警ら隊所属の警察官に。15世紀の琉球王国で本島中部の勝連半島を繁栄に導いた英雄の半生を描いた琉球歴史ドラマ「阿麻和利 THE LAST HERO」では主演を務め、同作は「東京ドラマアウォード2024」ローカル・ドラマ賞に輝いた。
近年は「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(2019)や朝ドラ「エール」(2020)、「オリバーな犬、 (Gosh!!) このヤロウ」(2021)、「未来への10カウント」(2022)などのドラマに出演し、Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」での怪演も話題を呼んだ。(編集部・石井百合子)