「光る君へ」実資VS道長の3分に渡る舌戦話題 「禅問答のよう」「実資ド正論」
吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)の10日放送・第43回は、秋山竜次ふんする大納言・藤原実資が活躍するエピソードとなり、とりわけ実資と左大臣・道長(柄本佑)の対峙シーンが「禅問答のよう」と注目を浴びた(※一部ネタバレあり)。
第43回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の暮らす内裏で度々火事が起こり、道長は三条の政に対する天の怒りが原因だとして譲位を迫る。さらには三条天皇が体調を崩し、公務に支障をきたしていることから道長は四納言に相談のうえ決意を硬くする。窮地に陥った三条天皇は実資に助けを求め、道長から守ってほしいと懇願する。
注目を浴びたのは、実資が帝に譲位を迫る道長を説得しようとする場面。実資は人払いすると、目も見えず耳も聞こえずしてまともな政ができるはずがないという道長の言い分は理解できるとしながらも「帝のお心は譲位に向かってはおられませぬ。責め立て申し上げたれば帝のお心もお体も弱ってしまわれるでありましょう。弱らせることが正しきやり方とは思えませぬ。このまま左大臣殿が己の心を通せば皆の心は離れます」と無理やり譲位させようとすることは間違っていると指摘。
「幼い東宮を即位させ、政を思うがままになされようとしておることは誰の目にも明らか」ともいう実資に、道長は気を悪くしたのか手にした文書をたたきつけるようにして「左大臣になってからかれこれ20年。思いのまま政などしたことはない。したくともできぬ。まったくできぬ」と反論。そこから、「左大臣殿が思う政とは何でありますか。思うがままの政とは?」(実資)、「民が幸せに暮らせる世を作ることだ」(道長)、「民の幸せとは?」(実資)、「そもそも左大臣殿に民の顔など見えておられるのか。幸せなどとあいまいなものを追い求められることが我々の仕事ではございませぬ。朝廷の仕事は、何か起きた時、まっとうな判断ができるように構えておくことでございます」(実資)、「志を持つことで、わたしはわたしを支えてきたのだ」(道長)、「志を追いかける者が力を持つと志そのものが変わっていく。それが世の習いにございます」と舌戦が展開。
最後には道長が苦笑いで「意味が分からぬ」と断ち切り、実資は「帝のご譲位、今少しお待ちくださいませ」といいその場を後にした。
約3分に及ぶシーンだったが、道長を相手に一歩も引かない実資に対し、SNSでは「ド正論」「実資の言う通り」「筋がしっかりしてる」「良いことを言う!」「信頼と実績の実資、さすがに頭が切れる」「実資の指摘の通りだ」「言ってる事よくわかる」「デキる男」と絶賛の声が続々。さらには、「道長にここまで言えるのは実資だけだよなあ」「はっきり言ってくれる実資が良かったね道長」といった声もあった。
なお、実際に実資と三条天皇の仲はどうだったのかというと、ドラマの時代考証を担当する倉本一宏は、公式サイトのコラムで以下のように説明している。
「実資は「どんな人物であっても天皇は尊重する」という人なので、誰と仲が良いというようなことはないと思います。三条天皇からすれば、道長に対抗するためには、東宮時代に春宮大夫や東宮傅として支えていた道綱では頼りなく、小野宮家の当主で儀式などにも精通した実力者の実資を陣営に引き込むしかないと考えていたでしょう。そしてすけ子の立后の儀に際して、多くの公卿が道長を意識して日和見をする中で、実資がその儀を取り仕切ってくれましたので、三条天皇は「実資は自分のことを非常に重んじてくれている」と思い込んだと思います。けれども、実資としては当たり前のことを誠実に、粛々と行ったに過ぎません。実資は三条天皇が恣意的に人事を行うことなどを非難していますので、むしろ政治的には、三条天皇のことをあまり評価していなかったと思います」
ちなみに、いつの間にか実資のもとで飼われている様子のオウム(声:種崎敦美※崎は「たつさき」)も久々に姿を現し、安堵や歓喜の声が寄せられた。(石川友里恵)