『ライオン・キング』ジェームズ・アール・ジョーンズさんの精神を継承 新ムファサ声優が抱く思い
超実写版『ライオン・キング:ムファサ』(12月20日全国公開)のメインキャストであるアーロン・ピエール(ムファサ役)、ケルヴィン・ハリソン・Jr(タカ役)、ティファニー・ブーン(サラビ役)が、アニメーション版でムファサを演じた故ジェームズ・アール・ジョーンズさんへの思いや役づくりについて語った。
2019年に公開された超実写版『ライオン・キング』の前日譚となる本作は、シンバを命がけで守ったムファサと、彼の命を奪ったスカーの若かりし頃の姿を描く物語。孤児から王へ運命を切り開くムファサと、彼の運命を変えるタカ(後のスカー)の血のつながりを超えた“兄弟”の絆に隠された、驚くべき秘密が明かされる。
アニメーション版および超実写版でムファサの声を担当したジェームズさんは、今年9月にこの世を去った。訃報を受けたアーロンは「非常に悲しいニュースです。彼は、僕や多くの人々のヒーローで、最もインスピレーションを受けた一人です」と切り出し、ジェームズさんのレガシーを継承していきたいとコメント。本人との対面は叶わなかったが、「彼は驚異的なアーティストです」と尊敬の念を表した。
若きムファサの声をつくる上で、ジェームズさんの声は重要な資料になったとアーロンは強調する。「オリジナル映画を研究して、徹底的にメモを取りました。僕にとって、それが全過程を通じて指針になっていきました」
ムファサと友情を育むタカ役のケルヴィンは、ジェレミー・アイアンズが声優を務めたオリジナル版のスカーに近づけようと、彼の声をリサーチしてアフレコに挑んだ。「(声で)どうやって年齢を下げようかと考えました。また、感情的に失われたものについて話し、掘り下げていきました。僕たちはこの映画を3年以上かけて、作り上げています」
さらにケルヴィンは、ムファサ役のアーロンを「ムファサにぴったりなんです」と絶賛する。アーロンが出演した「地下鉄道~自由への旅路~」(2021)を鑑賞して以来、彼の演技に釘付けになっていたそうで、「『ライオン・キング』の声優ついてメールを受け取った時、『他に誰がやるの?』と聞いたら、アーロンがやると言うので、僕は『冗談だろう!』と思いました」と念願叶ってのタッグであることを明かした。
そして、ヒロイン・サラビ役に抜てきされたティファニーは、同作への出演経緯を「少し奇妙でした」と表現。というのも、オーディション段階では「自分がどのキャラクターの選考を受けているのか全くわからなかった」という。「自分の中では、納得のいく声が出せたんです」と手応えを感じていたそうで、オリジナル版のサラビにはあえて近づけず、声を作り上げたことを明かした。
『ライオン・キング』は「子供の頃に一番好きだった映画」と語るティファニー。幼少期に父親を亡くした彼女は、シンバにつながりを感じたといい、「父親を亡くしても、自分の仲間を見つけて、冒険的で楽しい人生を送ることができるという希望がありました。私にとってそれが感動的だったんです」と打ち明けていた。(編集部・倉本拓弥)