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まさに天才!『モアナと伝説の海2』楽曲を手掛けた20代女性デュオとは?

ロサンゼルスのディズニー・アニメーション・スタジオで取材に応じたエミリー・ベアー&アビゲイル・バーロウ
ロサンゼルスのディズニー・アニメーション・スタジオで取材に応じたエミリー・ベアー&アビゲイル・バーロウ

 ディズニーのミュージカルアニメーション映画『モアナと伝説の海2』で第1弾のリン=マニュエル・ミランダに代わり、キャッチーな名曲の数々を手掛けたのは若き女性デュオのエミリー・ベアー(23)とアビゲイル・バーロウ(26)だ。まさに天才というべき二人のキャリアと作詞作曲プロセスに迫った。

【動画】名曲!メイン楽曲「ビヨンド ~越えてゆこう~」

 3歳で作曲を始めて神童と呼ばれたベアー。まだ一桁の年齢だった頃から、ピアニストとして、カーネギーホール、ハリウッドボウル、リンカーンセンター、モントルー・ジャズ・フェスティバル、ホワイトハウスといった伝説的な場所で演奏してきた。師であるクインシー・ジョーンズがベアーのオリジナルジャズアルバム「ダイバーシティ」をプロデュースしたのは、彼女が9歳の時のことだ。PBSのドキュメンタリー番組「Life Centered」の音楽を手掛けて20歳でエミー賞を受賞したほか、ビヨンセの「ルネサンス・ワールド・ツアー」にピアニストとして同行したことでも知られる。

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 バーロウはシンガー・ソングライターで作曲家。ティーンエイジャーの頃、ライブストリーミングプラットフォーム「YouNow」で世界中の視聴者を獲得し、2016年には優れた若手アーティストを発掘する「ヤングアーツ」のファイナリストとなった。ベアーとデュオとしての活動も開始し、共同制作した「The Unofficial Bridgerton Musical」で共にグラミー賞最優秀ミュージカル・シアター・アルバム賞を受賞。ベアーとバーロウはフォーブス誌の「30 UNDER 30」リスト(30歳未満の特筆すべき30人)にも選ばれ、そして今回、ディズニー・アニメーション映画のサウンドトラック全曲を手掛けた最年少のデュオにして、初の女性チームとなった。

モアナと伝説の海2
前作の冒険から3年、リーダーとして成長を遂げたモアナが主人公 - (C) 2024 Disney. All Rights Reserved.

 ベアーとバーロウが『モアナと伝説の海2』のソングライターに起用されたのは、今から2年以上前だ。ロサンゼルスのディズニー・アニメーション・スタジオで取材に応じた二人は当時をこう振り返る。「監督たちとの最初のミーティングで、まだ雇われる前だったのですが、本作でのモアナの旅路というものをすべて説明してくれたんです。その時のわたしは、モアナと1歳しか変わらない20歳(本作のモアナは19歳)。それもあって、すぐにモアナとつながることができました。わたしたちも世界で自分の居場所を見つけようとしている若い女性で、モアナと同じ葛藤を抱えている。ディズニー映画の魔法みたいなところは、コアとなるテーマがとても共感しやすい点です。わたしたちにも、強く語り掛けてくる物語になっていると感じました」(ベアー)

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 「若い女性として、彼女の成長にも共感できました。彼女はリーダーとして進み出し、カヌーではクルーを取り仕切る。わたしたちが、現実でもそんな立場になれるなんて魔法みたいでした」(バーロウ)

 正式に起用されてからは前作の曲を聴きまくり、モアナの世界に完全に身を浸した。ベアーは「そうして長いこと聴いていると、モアナの音楽のパターンやどこへ向かっているかということがわかってきて、それをわたしたちの音楽とどう融合させるか選択できるようになってくるんです」と明かすと、バーロウも「本作に参加するにあたって、わたしたちはすでに作り上げられているモアナの世界に絶対にとどまり続けたかったんです。それはとても美しいから。そこにちょっとしたバーロウ&ベアーの要素を加えられたらと思いました」と笑う。

 二人での曲作りは、バーロウいわく「セッションのようで、大きなパズルを1ピースずつ組み立てていくような感じ」なのだという。曲が先、歌詞が後など、決まったやり方はない。「それぞれの曲にそれぞれの旅がある」というベアーは、「ミュージカルのソングライターには、一人が曲、一人が歌詞というように完全に分業で、特にコミュニケーションは取らずに曲と歌詞を一つにする、という人たちもいますが、わたしたちはボールをどんどん回していく感じです。アビゲイル(・バーロウ)が言ったことがわたしをインスパイアして、それを彼女に戻す──卓球みたいな感じです」と説明する。

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 ベアーが「例えば最初の曲(『帰ってきた、本当のわたしに』)はこう始まるけど、わたしが弾いたら彼女がすぐにあの歌詞で歌ったんです」と目の前のグランドピアノを軽やかに鳴らすと、バーロウが美しい声で歌う。ベアーは「これは完成版が、最初のものとほとんど変わっていない曲。歌詞をちょっと入れ替えたりというのはありましたが、ただ現れたって感じの曲ですね」とほほ笑んだ。

 曲を書くときはそのキャラクターに成り切って、彼らの視点で物事を見るようにしているという二人。キャストの声や力量も大きなインスピレーションになる。それを象徴しているのが、大人になったモアナの葛藤が表現されたメイン楽曲「ビヨンド ~越えてゆこう~」だ。

 モアナ役アウリイ・クラヴァーリョの声は「ビヨンド ~越えてゆこう~」に本当にぴったり合っていると水を向けると、ベアーは「彼女の声は本当に素晴らしく聴こえますよね! 彼女の声は、彼女が第1弾の収録をした頃から本当に成長しました。彼女は本物の歌手です! 本当に歌える。本当に素晴らしく聴こえる」と興奮気味に語る。「わたしたちは、彼女の声がどんなに美しいのか、その見本市みたいな曲にしたかったんです。彼女は届くのかわからなかった音符にすら届いたし、お互いに限界を押し上げることができたと思います」とアウリイの稀有な声と歌手としての力量が曲自体も飛躍させたと明かした。

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 バーロウのお気に入りはモアナが旅の途中で出会う新キャラクター・マタンギが歌う「迷え!」で、「玉ねぎみたいに」たくさんの層がある彼女を表現するのが楽しかったとのこと。ベアーの1位を争うのは、前述の「ビヨンド ~越えてゆこう~」とマウイの新曲「できるさ!チーフー!」だという。

 ベアーは「あれは書くのがすごく楽しかったけれど、一番大変だった曲でもあります。彼は今もマウイだけど、成長しているんです。わたしたちが知っていて、愛しているマウイらしさと、成長を遂げたところ、そのバランスを取るのが難しかったです。彼のキャラクターとロック(マウイ役のドウェイン・ジョンソン)の声はとても特徴的。それにふさわしい曲をどうすれば書けるだろう、というのはありました」と振り返っていた。『モアナと伝説の海2』の魅力は何といっても、名曲ぞろいのそのミュージカルシーン。ベアー&バーロウのあふれんばかりの才能をぜひ映画館で体感してほしい。(編集部・市川遥)

映画『モアナと伝説の海2』は公開中

Auli'i Cravalho - Beyond (End Credit Version) (From "Moana 2"/Lyric Video) ft. Te Vaka » 動画の詳細
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