『劇場版ドクターX』最強の敵が双子設定になった理由 監督の“弟子”染谷将太が一人二役で体現
大ヒット医療ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」(2012~)シリーズの完結編『劇場版ドクターX』(全国公開中)を手がけた田村直己監督がインタビューに応じ、染谷将太が演じるシリーズ最強の敵・神津比呂人と、双子の弟である神津多可人の設定秘話を語った。
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「ドクターX」は、大学病院の医局に属さず、専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけを武器に様々な病院を渡り歩くフリーランスの外科医・大門未知子(米倉涼子)の活躍を描いた医療ドラマシリーズ。初の劇場版にしてシリーズ完結編となる本作では、未知子に最大の危機が訪れ、これまで謎に包まれていた彼女の秘密が明かされる。
これまで数多くの強敵と対峙してきた未知子だが、本作ではシリーズ最強となるサイコパスな天才外科医・神津比呂人が立ちはだかる。東帝大学病院の新院長としてやってきた比呂人は、使えない医者を容赦無く切り捨てる冷酷な人物。そんな彼には、生まれつき足に障害を持つ双子の弟・多可人がいる。心臓も悪く、将来完全に機能しなくなる恐れがあり、弟を救いたい比呂人は、完全置換型人工心臓の開発に励んでいる。
最強の敵が双子になった背景には、自身が双子である田村監督の意見が反映されていた。「私は双子で、弟は広島県・呉市で医者として働いています。そのことを脚本の中園(ミホ)さんにも話したら、双子の物語をやろうということになりました」ときっかけを明かす。ちなみに、呉市は大門未知子の出身地として劇場版の舞台の一つになっており、未知子のルーツを探るために呉市に向かった森本光(田中圭)が、彼女の過去を知る医師・河野明彦(綾野剛)と出会う。
比呂人・多可人の二役を演じ分けた染谷は、ドラマ「生徒諸君!」(2007)で田村監督とタッグを組んでいる。「学生の一人を演じていたのですが、染谷君の芝居が上手で、 セリフがない役だった彼に、セリフを言わせた思い出があります」と当時を懐かしんだ田村監督は、染谷を「僕の弟子です」と表現する。
シリーズ完結編に相応しい敵役として数名候補がいた中で、田村監督は「私は染谷君がいいと思いました」と再タッグを熱望していたという。「私が双子なので、演技の指導は『僕の言うことを聞けばうまくいくよ(笑)』と伝えました。逆に、その方がやりやすかったです」
比呂人と多可人の性格は違えど、「双子なので喋り方や声色は同じ」と田村監督。「喋り方とかはそこまで変える必要はないと(染谷に)話したと思います。それを見事に演じ分けで表現してくれました。流石です」と“弟子”の演技を絶賛していた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)