2024年興収1位は『名探偵コナン』上位2作品が100億円超え【邦画興収年間ベストテン】
2024年邦画興行収入の上位10作品が文化通信社より発表され、劇場版『名探偵コナン』シリーズ第27作となる映画『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』がシリーズ最高興収となる158億円を記録し、本年度トップを獲得した。今年もアニメ作品の強さは際立っており、トップテンに6本がランクインし、上位2作品が興収100億円超えとなった。(集計期間は2023年冬~2024年冬、文中の数字は一部推定)
【動画】次回作は雪山!『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』特報映像
長きにわたって人気を集めてきた劇場版『名探偵コナン』シリーズだが、ここ10年近くは、年によって多少の興収の上下はあったものの、全体的にはほぼ右肩上がりの成績を更新し続けている。特に前作『名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』はシリーズの悲願だった興収100億円を突破し、最終興収138億8,000億円をマーク。新作への期待は増しに増している状態だった。
そんな中、最新作は観客にネタバレなしで楽しんでもらいたい、ということから「公開前の試写会は一切ナシ」というシリーズ初の宣伝戦略がとられることとなった。公開初日となる4月12日には、日付が変わった午前0時から全国10都道府県23劇場にて世界最速上映を実施。飢餓感があおられたこともあってか、全国でチケット争奪戦が繰り広げられ、満席の劇場も続出した。
そしていざ全国515館で公開されるや、初日3日間の合計は動員227万4,333人、興収33億5,249万4,500円という驚異的なロケットスタート。国内動員ランキングでは6週連続で1位を記録した。7週目には前作超えとなる140億円を突破し、シリーズ最高興収をマーク。さらに8週目にはシリーズ初となる動員1,000万人を突破。最終的には14週連続でベストテンにランクインすることとなった。来年は毛利小五郎をフィーチャーした最新作『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』(4月18日全国公開)が控えており、その動向が注目される。
2位には、人気コミックの劇場版アニメ『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』がランクイン。原作でも人気のエピソード「烏野高校VS音駒高校」を描き出した同作。初日から3日間で動員152万9,000人、興収22億3,000万円とこちらも驚くべき数字を記録し、国内動員ランキングでも初登場1位をマーク。公開から間もない時点でリピーターの存在が確認されるなど、シリーズの人気の高さがうかがい知れた。そして翌週も1位を記録した後、3週目には2位にランクダウンとなったが、4週目には1位に返り咲き。その後も勢いは衰えることなく、16週連続でテン圏内をキープ(ただし18週目にテンに返り咲いている)。さらに8月18日には“もう一回がない全国一斉上映! 「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」ラストマッチ”と銘打ったイベント上映を実施し、再びテン入りを果たしたことも話題を集め、最終興収116億4,000万円を記録した。
人気シリーズ第4弾『キングダム 大将軍の帰還』は、80億3,000万円で3位にランクイン。7月12日に初日を迎えた同作は、初日3日間で動員106万5,000人、興収16億2,900万円を記録。夏興行をけん引した同作は、国内動員ランキングでは2週連続でナンバーワンを記録。10週連続でベストテン圏内にランクインした。第1作(最終興収57億3000億円)、第2作(最終興収51億6000万円)、第3作(最終興収56億円)と安定した強さを見せてきた同シリーズだが、第4作にしてシリーズ最高の80億円超えを達成している。
配給会社別に見ると、東宝が8本で相変わらずの強さを見せつけ(『キングダム 大将軍の帰還』はソニー・ピクチャーズとの共同配給)、同社の年間興収も、歴代最高となる910億円~920億円をたたき出す見込み。その他、松竹が2本という結果となった(『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』はバンダイナムコフィルムワークスとの共同配給)。興収40億円以上は9本、興収50億円以上は7本となった。
また5位の『ラストマイル』は興収50億円を突破するなど、原作のないオリジナル脚本の実写映画としては見事な大ヒット。さらに7位の『変な家』、8位の『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』といった、若者層を中心にヒットを記録した作品がランクインしていることも特筆される。(取材・文:壬生智裕)
【2024年邦画作品別興収 上位10本】(最終興収の数字は一部推定)
1:『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』158億円
2:『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』116億4,000万円
3:『キングダム 大将軍の帰還』80億3,000万円
4:『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』63億2,000万円
5:『ラストマイル』59億1,000万円
6:『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』53億6,000万円
7:『変な家』50億7,000万円
8:『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』45億4,000万円
9:『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(ちきゅうシンフォニー)』43億1,000万円
10:『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』36億円