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『ロード・オブ・ザ・リング』一筋縄ではいかなかったアニメ映画化「騎馬戦も全て手描き」制作陣が語る苦労と挑戦

日本の伝統である手描きアニメーションで映画化!『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』より
日本の伝統である手描きアニメーションで映画化!『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』より - (C) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

 ファンタジー映画の金字塔『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の200年前を描く物語を、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「東のエデン」などの神山健治監督が長編アニメーション映画化した『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』。アニメーションを制作したのは、「ULTRAMAN」などでおなじみの SOLA Entertainment だ。制作統括(共同プロデューサー)を務めた橋本トミサブロウと、アニメーションプロデューサーの董哲がインタビューに応じ、企画の立ち上げからアニメーション制作における苦労や挑戦を語った。

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 J・R・R・トールキンの小説「指輪物語 追補編」のエピソードに基づき、騎士の国ローハンの若き王女・ヘラが国の未来を左右する戦いに挑むさまを描く本作。実写三部作を手がけたピーター・ジャクソン監督が製作総指揮に名を連ね、三部作全ての脚本を執筆したフィリッパ・ボウエンも原案として参加するなど、実写映画のスタッフ全面協力による正統な新作が誕生した。

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アニメ映画化は「苦労の道」

アニメーションプロデューサーの董哲(左)、製作統括の橋本トミサブロウ(右)

 橋本プロデューサーによると、本作の企画が立ち上がったのは2021年8月ごろ。神山監督は当初、日本の伝統的な手描きアニメーションによる映像化は「とても難しいのでは」と考えていた。そんな中で、映画化に挑戦することになった決定打は何だったのか。

 「『ロード・オブ・ザ・リング』というメジャーなIPを断った場合、この先、SOLA Entertainment や神山監督はもちろん、日本のアニメ会社にビッグタイトルのオーダーが届くチャンスは二度とない。最大の決め手はそこです。このビッグチャンスを逃したら、二度と来ないという意気込みでやろうということになりました」(橋本プロデューサー)

 『ロード・オブ・ザ・リング』を手描きアニメーションで映像化するには、三部作でフロドが“旅の仲間”を集めたように、共に制作する多数のアニメーターが必要になった。「大海原へと繰り出す無謀な挑戦」とも表現した橋本プロデューサーは、神山監督からの印象的な言葉を明かす。「『セルアニメ制作は僕と橋本さん、最後まで二人だけで立っていても、アニメはできない』。当たり前なんですけど、結構刺さった言葉です。私たちがどれだけ『やりたい』と叫んでも、アニメーターやスタッフがいないと成立しない。そのぐらい苦労の道なんだとお話しされていました」

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 そして、神山監督の挑戦に賛同する仲間のアニメーターたちが集結。董プロデューサーは「途中で諦めて辞めていった人はほとんどいない」と明かした。「神山監督は、誰よりも現場にいる方です。監督に近い人たちも続いてくれて、どんどん仲間が増えていきました」

実写を意識したアニメーション制作

実写映画と同じデザインで描かれたムーマク - (C) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

 ジャクソン監督をはじめとする実写映画のスタッフは、企画の初期段階から参加していたという。本作は、ジャクソン監督が描いた中つ国で起こる物語であるため、「(実写映画と)リンクする部分はスパイス程度で散りばめています」と橋本プロデューサーは予告する。

 実写映画とのつながりは、デザイン面にもある。三部作を製作したWETAデジタルが、当時のCGデータやデザイン画といった資料を提供しており、劇中に登場する建造物やクリーチャーは、実写映画と同じビジュアルだ。「ムーマク(=象に似た巨大な獣)の模様なども、全てWETAさんからの資料に合わせて作っています。WETAさんには設定の監修にも入っていただいたので、世界観を崩さないように制作しています。映画を観たファンの方々は、当時の合戦に似たような雰囲気を感じるかもしれません」(董プロデューサー)

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 神山監督をはじめ、アニメーターたちが最も苦労したのは2,000騎の馬が登場する騎馬戦のシーンだった。橋本プロデューサーは「騎士の国ローハンが舞台であるため、描く必要がありました。騎馬戦も全て手描きです。下手に逃げてしまうと観客はガッカリしますし、逆にたくさん見せるくらいの勢いで取り組みました」と振り返り、董プロデューサーも「神山監督は実写を意識していました。全てのショットにポーズを入れれば、写真になるように作りたいという意識が高く、実写のことをまずベースに考えていました」と神山監督のこだわりを明かした。

アニメーションにおける試練だった馬の描写 - (C) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

 難関だった馬については、本物をモーションキャプチャーでスキャンすることが難しいため、役者が馬と同じ高さのダンボールにまたがり、その姿をCGと合体させて映像化していった。モーションキャプチャーを使用した狙いも、「実写の『ロード・オブ・ザ・リング』のようなシネマティックなカメラワークを再現するため」だったという。

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 立ち上げから3年、紆余曲折を経て『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』が完成した。「神山監督をはじめ、現場の人間がゼロから集まって作った作品です。できるだけ多くの人に観ていただきたいと、心から思っております。ストーリーテリングの良さはもちろん、純粋に人が手間暇かけた作品はこういったものだということを感じていただけると嬉しいです」と橋本プロデューサーは自信をのぞかせ、董プロデューサーは「神山監督が主導で、たくさんの国の方が参加したアニメーション作品です。これほど世界中の人が、日本のアニメのために一心同体になって制作したのは珍しいこと。その成果をチェックしてほしいです」とアピールしていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

映画『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』は全国公開中

小芝風花、王女ヘラ役・アニメ吹替への挑戦!『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』インタビュー » 動画の詳細
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