シネマトゥデイが選ぶ2024年映画ベスト10発表
2024年1月1日からの1年間に劇場、そしてストリーミングサービスで日本初公開された全ての映画から、シネマトゥデイ編集部がベスト10作品を決定した。ストーリー、キャスト、演技、映像、社会性、エンターテインメント性、観客動員数、話題性などあらゆるポイントを踏まえたランキングとなる。
10位は、孤独なドッグとロボットの友情を描いた映画『ロボット・ドリームズ』。シンプルなビジュアルでありながらそのアニメーションは驚くほど多くの感情を伝え、セリフなしでここまで泣かされるなんて! と“心に残る度”において今年随一と評価された。9位は、アレックス・ガーランド監督の『シビル・ウォー アメリカ最後の日』。分断された近未来のアメリカで起きた内戦をロードムービー形式で追うスリラーで、アメリカ大統領選とのシンクロもあり、架空の設定が“起こるかもしれない未来”として観客の背筋を凍らせた。
8位には映画館で観るべき作品として究極の没入体験を提供したドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『デューン 砂の惑星PART2』、7位には失踪した愛娘を血眼になって探す母親(石原さとみ)を通し、ネットの誹謗中傷やマスコミの闇など現代社会にはびこる問題を浮かび上がらせた吉田恵輔監督の『ミッシング』がランクイン。6位は夫が不審な転落死を遂げたことで起訴されたベストセラー作家の姿を描いた、フランスの法廷サスペンス『落下の解剖学』。スリリングな法廷ものという面白さにとどまらず、夫婦間の犠牲や社会的役割といったリアルで深いテーマに踏み込んだ脚本に支持が集まった。
5位は『ラストマイル』。物流業界を舞台にその末端の人々に光を当て問題提起する社会派ドラマでありながら、スリリングなストーリーと見応え十分の群像劇、人気ドラマのシェアード・ユニバース要素で、映画ならではのスケール感を持つエンタメ作品に昇華させた点が高く評価された。4位は、劣悪な環境から抜け出し、生への希望を見いだそうともがく主人公にふんした河合優実の熱演が光った『あんのこと』だ。
3位は、自分らしさとは何かというテーマが子供だけでなく大人の心にも深く刺さり、ピクサー史上最大のヒット作となった『インサイド・ヘッド2』。2位はアニメ表現の新しい可能性を感じさせた『ルックバック』だ。
そして栄えある1位は、原爆の開発を主導したアメリカの物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を、彼の内面の葛藤と共に描いた『オッペンハイマー』。演技、演出、脚本、撮影、音響と全てがハイレベルであり、クリストファー・ノーラン監督が映画のポテンシャルを極限まで引き出し、観客にオッペンハイマーの人生をスリリングに体感させるという荒業を成し遂げた名作となっている。(編集部・市川遥)