目黒蓮「笑われるかもしれないけど…」 ジュニア時代から綴る夢ノート
アイドルとして輝きを放つ一方、いま最も勢いのある俳優の一人として飛躍を続けている目黒蓮(Snow Man)。2023年7月期のTBS金曜ドラマ枠(夜10時~)で放送された連続ドラマの劇場版『トリリオンゲーム』(2月14日公開)では、主人公のハル役として帰還。“世界を覆すハッタリ男”を躍動感たっぷりに演じて、観る者を大いにワクワクさせてくれる。果てしないロードマップを描き、ワガママに突き進むハルを演じている目黒だが、自身も「ロードマップを描くタイプ」だと告白。ジュニア時代からノートに叶えたいことを書き連ね、ひたむきに目標と対峙してきたという。そんな目黒が夢についての考え方や、グループのメンバーと切磋琢磨している現状を語った。
ハル役で新境地「我ながら同一人物に見えない」
「ビッグコミックスペリオール」で連載中の漫画(原作:稲垣理一郎・作画:池上遼一)を、目黒と佐野勇斗の共演で実写化した本シリーズ。天性の人たらしで口八丁な男、通称・ハル(目黒)と、気弱で心優しい“凄腕エンジニア”の通称・ガク(佐野)、中学時代の同級生でもあるコンビがゼロから起業し、1兆ドル(トリリオンダラー)を稼ぐべく、成り上がっていく姿を描く。映画版では、ハルとガクが日本初のカジノリゾート開発に挑むオリジナルストーリーが展開する。
『トリリオンゲーム』がスクリーンにお目見えする。連続ドラマから劇場版へと辿り着いたことに、目黒は「こんなに大きなスクリーンが似合う作品もなかなかないと思う。『トリリオンゲーム』自体、スケールが大きく、スクリーンに映える作品です。ドラマからさらにパワーアップした姿を見せられるんじゃないかと楽しみになりました」と興奮しきり。「ドラマからみんなで一生懸命にやってきたチーム」との再会にも胸を熱くしたという。
“世界一のワガママ男”を自称するハルは、目黒にとって新境地を切り開きながら、見事な当たり役となったキャラクターだ。ハルとしてさまざまな新鮮な表情を披露してきた目黒だが、とりわけ何かを企んでいるようにも見える“不敵な笑み”は鮮やかなインパクトを残す。
「普通の人では理解が追いつかないようなことを、考えられてしまう人」とハルを分析した目黒は、「その笑顔の奥で何を思っているのか、誰にも計り知れないものがある。演じる上でもその点は意識していました。この人は何をするかわからない、だからこそ見ているとワクワクするという表情を意識して、ニヤッとしています」と役づくりに触れる。インタビューに応じる柔らかな笑顔や、アイドルとしてのまぶしいほどの笑顔、そしてこれまでドラマや映画で演じてきたキャラクターともまったく違う笑顔をしている。目黒は「たとえば(2024年の月9ドラマ)『海のはじまり』の夏と『トリリオンゲーム』のハルを演じている姿では、僕自身も同一人物に見えない時があって」とはにかみながら、「自分でもびっくりするくらい違うなと思います」とにっこり。楽しそうに目尻をさげる様子からも、役者業への充実感が伝わってくる。
原作の作画を担当している池上は、撮影現場で目にした目黒について「久しぶりにお会いした目黒さんが、さらに凄みのある雰囲気を出していることに驚きました」と彼の成長について証言している。「そう言っていただけてものすごくうれしい」と喜ぶ目黒。「その瞬間、目の前のワンカットにがむしゃらに向き合うだけ。僕にはそれしかできなくて……」という一途さが、成長の秘訣だろう。
自分にないものを持つ人に惹かれる
ニヤリと笑いながら、どこまでも上り詰めていこうとするハル。くじけそうになったとしても彼が何度も立ち上がれるのは、ガクとの友情パワーがあるからだ。
目黒は「ハルは突拍子もないことをいきなり言うんですが、その裏ではいつも仲間のことを思っている。そうした姿には僕も“そうありたい”と憧れます」としみじみ。「ハルにないものをガクは持っていて、一方でガクにないものをハルは持っている。だからこそ強いペアなんだと思います」と思いを巡らせながら、「僕自身も“自分にはできないな、自分にはないな”と感じるような人に惹かれます。そういった部分を感じると、信頼関係を築きたいと思うようなきっかけになる気がします」とハルに共感を寄せる。劇中のハル&ガクのコンビネーションが絶妙なのは、「佐野くんと協力して頑張ってきた時間」が注ぎ込まれているから、とのこと。撮影の合間には「お店を探して、佐野くんと二人で焼肉に行きました」と役を離れた場所でもいい関係を築いている。
劇場版では、ハルとガクが日本初のカジノリゾートの開発に挑む。あらゆる欲望が渦巻く場所が舞台となるが、目黒の「欲望」についての考え方を聞いてみると、「人間、いろいろな欲望がありますよね」と切り出し、「ライブをやっていると、ファンの方がいろいろなメッセージを書いたうちわを持ってきてくれます。ある時、“いつも幸せをありがとうございます”と書かれたうちわを見つけて。お金を払って来ていただいて、一瞬でも目が合った時に伝えたいこととして、自分の欲ではなくて感謝を伝えられるなんてとても素敵なことだなと思いました。“もっと頑張らないとな”と思わせてくれた」と目黒自身も、感謝をにじませていた。
ジュニア時代から綴る「夢ノート」
ハルへの憧れと共感を口にした目黒だが、天井知らずなロードマップを描くハルと同じく、自身も「ロードマップを描くタイプ」だという。
目黒は「自分の中で、この先の大きな目標や夢みたいなものがしっかりとあって。そこに到達するためには何をやらなければいけないのか、学ばなければいけないのか、どのように進化しなければいけないのかと考えています」とキッパリ。「ジュニア時代から、1冊のノートに自分が叶えたいものを書いていて。みんなからすると“そんなに大きなこと?”と笑われてしまうような些細なことまで書いていました。そこにチェックをつけながら、ここまで来られました。ひとつ叶えると、また新しい目標や夢ができたりするので、どこが終わりなのかわからなくなっています」と微笑みながら、「またきっと増えていくと思います」と目黒の抱く夢も限りない。
ハルのようなワガママ精神はあるのか? と聞いてみると、「夢をノートに書く前は、ワガママ精神はゼロでした。“これをやってください”と言われたことにフォーカスして、ワガママはひとつも言わなかったように思います。でも夢を記すようになってからは、いい意味でワガママでいなければいけない部分もあるのかなと思うようになりました」と意志を握りしめる。
夢に向かって前進していく上では、Snow Man のメンバーの存在が欠かせない。「今、誰かが上に行こうとしていたら、下からみんなで押し上げる。自分が上にあがる瞬間もあって、それをみんなが押し上げてくれる。次、次……と背中を押したり、押されたりしていくんです」と特別で、心強い仲間と共に奮闘している今について語っていた。(取材・文:成田おり枝)