「鶴瓶さんしかいない」監督が明かす『35年目のラブレター』主演決定の舞台裏

映画『35年目のラブレター』(3月7日公開)で監督・脚本を手掛けた塚本連平と、企画・プロデュースを務めた森谷雄が22日、東京・調布市の「第7回映画のまち調布賞」授賞式会場で行われた、同作の先行上映イベントに出席。撮影秘話や主演を務めた笑福亭鶴瓶の起用裏話を振り返った。
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一通のラブレターを巡る夫婦の実話をベースにした『35年目のラブレター』は、読み書きができないまま年齢を重ねた夫が、長年自分を支えてくれた妻に感謝を伝えるラブレターを書こうと奮闘する姿を描いた人間ドラマ。読み書きができないまま大人になった65歳の主人公・西畑保を笑福亭鶴瓶、その妻・皎子を原田知世、そして、西畑夫妻の若かりし頃を重岡大毅(WEST.)と上白石萌音が演じている。
塚本監督は、本作に取り掛かるきっかけについて「西畑さんの話を妻がワイドショーで見て、とってもいい話だと紹介してくれたこと」と紹介。「西畑さんのラブレターも公開されていて、それを見たときに絶対に映画にしたいと思った」と映画化を決断した瞬間を振り返る。
西畑役は、当初から「鶴瓶さんしかいないと思っていた」という塚本監督は「鶴瓶さんに絶対にやってほしかった。西畑さんと容姿も似ていますし、関西弁ができる方が良かったから」と説明。森谷も「監督から絶対に鶴瓶さんって言われました。脚本の途中段階で鶴瓶さんのところに持って行って読んでもらったりしました」とやり取りを回顧。その後、鶴瓶も本作の脚本を気に入り、出演を承諾したという。
そんな本作の脚本について、塚本監督は「書くにあたって、つらい話だからこそ楽しいエピソードをたくさん入れたいと思った」とこだわりを紹介。「悲しいところで泣くのではなく、楽しいところで笑顔で泣ければいいなと思ったんです」と執筆時の心境を振り返る。モデルとなった西畑さん本人には、当初、西畑役が誰かを伝えていなかったというエピソードにも触れ、鶴瓶であることを伝えた後は、落語会に西畑さんが訪れたという、二人の交流についても紹介した。
塚本監督にとって本作は特別な作品になった様子で「妻がきっかけで作った作品。僕にとっては、この作品が妻へのラブレターになるのかなと思います」と感慨深げに語っていた。(取材・文:名鹿祥史)